2016年5月20日より全国公開
東宝映像事業部
公式サイト
この作品には興味深い点がズラリ揃っています。まず実写でもアニメでもありません。さらに、押井守監督作ながら北米で英語版として作られ、監督含め日本人スタッフは7人しかいません(これまでも押井守監督は海外で映画を撮っていますが、いつも日本人は最小限にして現地のスタッフを起用される方針だそうです)。また、構想に15年、製作費は20億円かけられ、Production I.G.が制作となっていますが、日本語版のプロデューサーとして、スタジオジブリの鈴木敏夫が名を連ねています。これだけでも映画好きとしては、観ないといけないと思いますよね。でも、私は押井守監督作に詳しいわけではなく、特別好きというわけではないので、この世界観に入る込むのには少々時間がかかりました。とはいえ、後半でだんだんテーマがくっきりと見えてきたので、逆に全部を理解しようと意気込まなくても良かったのかなと後に気付きました。とにかく映像に圧倒されましたが、実写でもなくアニメでもないという描写がまさに文字どおりで、2つの境界線がうまく取り去られ、とても不思議な感覚が味わえました。ストーリーもすごく哲学的だったので、個人的には好みです。 |
ちょっと特殊な映画なので、普段あまり映画を観ないカップルには敢えてオススメしませんが、2人とも関心があるなら観ても問題はないと思います。ラブストーリーの要素はほぼ無く、そもそもが現実とは離れた世界を描いているので、自分達の状況に置きかえて複雑な心境になるという心配もありません。鑑賞後は、哲学的テーマについて深く語りたければそれも良し、おもしろかったか否か程度の軽いトークでも良いと思います。 |
キッズやティーンの皆さんも興味が湧きそうな世界観です。少し難しい部分もあるかも知れませんが、まずは観たまま受け止めて、何を感じたかを他の人と話し合うと、理解が深まってより魅力がわかると思います。ラストシーンで、ランス・ヘンリクセンが演じるウィドのセリフが口の動きだけで敢えて音が消されており、何を言ったのかが謎になっていますが、これは本作のテーマの答えのような気がして、ぜひ皆さんもその答えについて観ていろいろな人と討論してみてください。 |
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2016.5.16 TEXT by Myson