2011年12月10日より全国公開
東宝
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まず、各キャラクターですが、生霊になってしまう六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)が田中麗奈というのがちょっと童顔過ぎないかなと一見意外だったのですが、きりっとした目元など顔立ちが古風なので思ったよりも雰囲気が合ってて女の怖さが出てたと思います。そして、生田斗真の光源氏はしっくりきてました。美少年という設定はもちろんですが、彼は『人間失格』のときもそうでしたが、母性をくすぐるような寂しさを醸し出す役柄が似合いますね。あと、藤原道長を演じる東山紀之。かっこよかったなあ。特別ジャニーズファンというわけではないのですが、この年齢になったからこその貫禄と美しさがこの役にすごくぴったりでした。 本作は『源氏物語』そのものの話だけではなく、この物語を書いた紫式部の背景がどうだったかというストーリーも描かれている点で、より「女性とはなんぞや」というポイントが焦点がなっています。このストーリーを観ると、光源氏というキャラクターは、紫式部が密かに想いを寄せる相手がモデルになっているだけでなく、紫式部自身もモデルになっているように思えました。光源氏の心には紫式部自身が抱える切ない想いの反映にも見えるし、光源氏の華やかさと一方で孤独な点は、紫式部の意中の相手の境遇に似ています。 真実はどうだったかは別として、こういう背景が描かれていることによって、私たちが知っている光源氏の物語がまた違ったものに見えて楽しめました。印象に残ったのは最後のシーンで紫式部がいうセリフ。多くの人から寵愛を受ける光源氏の境遇の陰と陽を告げる言葉に意味の深さを感じました。多くの人から愛されることは幸せなことである一方で、責任もあり苦悩もあるということなんですかね〜。 ©2011 「源氏物語 千年の謎」製作委員会 |
美男美女が多く出演する艶やかでロマンチックな映画なので、デートで観るのも良いとは思いますが、ストーリーとしては「1人の男と大勢の女」の話であり、「悲恋」の話であり、「女の恨み」の話もちらっとありなので、浮気疑惑でもめている、または最近そういうことがあってやっとゴタゴタが治まったカップルやご夫婦は観ない方が良いでしょうね(苦笑)。ことごとく、うまくいかない恋愛が描かれているので、逆にラブラブなカップルは自分たちの幸せを実感できて良いと思いますよ。まあ気楽に観られる、穏やかな関係のカップルならばデートで観てもオーケーです。 |
©2011 「源氏物語 千年の謎」製作委員会
2011.12.10 TEXT by Myson