2015年4月11日より全国公開
プレシディオ
公式サイト
アラン・ドロン主演の『太陽がいっぱい』や、そのリメイクでマット・デイモンとジュード・ロウ主演の『リプリー』、アルフレッド・ヒッチコック監督作『見知らぬ乗客』などの原作者として知られるパトリシア・ハイスミスの傑作小説を映画化した本作。舞台は美しい遺跡が並ぶギリシャの町で、その風景やお国柄、文化も楽しめる内容でした。オスカー・アイザックが演じる、ツアーガイドのライダルが、観光客の通訳を買って出ていると思えば通常の値段より高い値で伝えて仲介料をくすねるという詐欺まがいの行為を行っていたり、でもそれはこういう観光地ではよくあることのように描写されていて、この物語の世界観が外から固められていきます。もう一方、ヴィゴ・モーテンセンが演じるアメリカ人紳士のチェスターも、すぐにライダルのやり方を見抜きつつ、見過ごすといったくだりが、このキャラクターが同じような世界に生きる者であると示唆していて、余計な説明をされることなく、すんなりとこの物語の世界観に入り込んでいけます。 一見騙し騙されの展開ばかりかと思いつつ、どちらかというと男女の感情の動きを描いている部分が多く、その点はパトリシア・ハイスミス原作の特徴なんでしょうかね。ただの詐欺師同士の駆け引きなら違う展開になると思いますが、男女関係のもつれが物語の展開をおもしろくしていきます。同時に、全てが嘘で固められたような世界を描いているので、男女の関係もとても空虚に見えてきます。個人的にはとても綺麗な風景に目を奪われ、ギリシャの町を散策するような感覚が一番楽しかったです。キルスティン・ダンストの衣装もとても素敵で、女子にも楽しめるサスペンスですよ。 |
三角関係を描いてはいますが、露骨な展開はなく、エロチックなシーンも無いので、付き合いたてのカップルや、性的描写に過敏な人と観ても気まずくなることは無いと思います。三角関係を経験したことがあるカップルはわざわざ過去を想起させる物語を観ることもないですが、ストレートな描写はないので観る人の受取方次第では問題ないかも知れません。旅行が好きなカップルは、ぜひ観てギリシャの風景を楽しんで、実際に旅行に行く約束をしてみるのはいかがでしょうか。 |
大人のムードが漂う作品なので、キッズにはちょっと渋過ぎるでしょう。ティーンは問題なく楽しめると思いますが、ギリシャの遺跡もある種の脇役となっているので、社会科の勉強がてら観るのも一石二鳥で良いでしょう。金額がたびたびセリフに出てくるので、貨幣やレートについても調べてみると、知識も増えて楽しいと思います。 |
関連記事:
■TJE Selection イイ男セレクション/ヴィゴ・モーテンセン
■TJE Selection イイ男セレクション/オスカー・アイザック
© 2014 STUDIOCANAL S.A. All rights reserved.
2015.4.7 TEXT by Myson