2017年2月18日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野
公式サイト
第135回直木賞候補作にもなった貫井徳郎のミステリー「愚行録」を、妻夫木聡と満島ひかりを主演に迎えて映画化した本作。いわゆる“イヤミス”(イヤな気分になる、後味の悪いミステリーの意味)系の群像劇で、日常の人間関係にひそむ羨望、嫉妬、誇張、駆け引きといった醜い感情を赤裸々に描いていきます。観終わった後はもれなく重い気分に浸ることになりますが(笑)、この人間の卑しさにゾクゾクと引き込まれ、闇を覗き込みたくなるのも、また人の心理なのでしょう。そんな愚かしい人間達を演じる俳優陣も小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜、中村倫也、眞島秀和、濱田マリ、平田満…と、実力派揃い。言葉の端々や、さりげない表情に負の感情をたぎらせる演技は、皆さん「さすが!」といった感じで、とても見応えがあります。しかし、やはり妻夫木のどんよりとした瞳の表情は群を抜いてすごい。冒頭のシーンから彼の目の演技にやられました。主人公兄妹の過去はあまりにも辛く、彼らを取り巻く人達の悩みがバカらしく思えるほどですが、この愚かさの対比も原作者による闇の表現の一つなのでしょう。 |
個人的にはデートでこういった重暗い作品は観たくないですが、人の心を捉えるエンターテインメント性は十分で、フィクションとして楽しめるカップルならデートで観るのもおもしろいと思います。ただし、幼児虐待など観る人によっては辛くデリケートな描写も出てきますので、相手の生い立ちや素性がわからないうちは一緒に観ないほうが良いと思います。とりあえず、ファーストデートでは避けるほうが無難な作品です。 |
(意外にも)年齢指定はない作品ですが、本作で描かれる人間の闇は、キッズやティーンにはまだ理解できないものもあると思いますし、トラウマになりかねないエピソードも出てくるので、できれば高校生以上になってから観ていただきたいです。映画の内容に関連して、キッズやティーンの皆さんに一つだけ言いたいのは、もし本作の兄妹のように、幼い頃から親に虐待を受けているならば、できるだけ早く身近な大人に相談してほしいということです。 |
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©2017「愚行録」製作委員会
2017.2.15 TEXT by min