2016年6月17日より全国順次公開
ギャガ
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前半はとてもコミカルで和やかで笑っちゃうシーンも多いですが、ラストでやっぱり笑えっちゃいけない映画なんだな〜と自責の念にかられる問題作。ヒトラーがこの世に甦り、最初はそっくりさんとしてもてはやされるけれど、彼の人気が高まるにつれ、徐々にまた彼は自身の影響力を及ぼしていくという展開は、皮肉過ぎる結末を迎えます。本作はドイツ映画ですが、最初はドイツもいよいよヒトラーをギャグにできるようになったのかと気楽なスタンスで観始めましたが、ただのギャグでは済ませていない結末が気に入りました。でも、ベストセラーとなった原作とは違う結末ということで、逆に原作はどんな結末なのかが気になるところです。 ヒトラーという人物はいろんな意味でとても興味深く、だからこそたくさんの書物や映画などが世に出ているわけですが、彼の悪行は許されないものだとして、人を魅了する何かを持っていたことは否めないと思います。私も彼の政治家としての歴史にまつわる書籍を読んだことがありますが、政治的に大きな功績を残していることもあり、国民に支持される要素があった背景なども知りながら本作を観ると、物語のリアリティが増して余計にクライマックスでゾッとします。このブラック・ユーモアをどう受け止めるかによって、本作のへの印象はだいぶ変わると思いますが、おもしろおかしい部分だけが一人歩きしないで欲しいなとも思える、奥深い作品です。 |
コミカルな展開だけ観るとデートでも楽しめそうですが、解釈が大きく分かれそうな内容です。価値観や、歴史的知識などのギャップが2人の間で生じる恐れもあり、デートで観るのは微妙な気がします。あまりに無知な人と、ある程度の知識がある人で観てしまうと、感想を述べ合った際に一方が恥をかいてしまうかも。そして、生真面目過ぎる人が観ても気を損なう恐れがあるので、気心が知れた友達と観るか、1人で観る方が良さそうです。 |
ちゃんと歴史的背景を知った上で観て欲しい作品です。知識もなく、いきなりこの作品を観て、ヒトラーおもしろい、カッコ良いなどとなるのは、少々心配です。史実と、映画を切り離して楽しめるようになってから、観ることをオススメします。でも、歴史に興味を持つきっかけになる作品だと思うので、ヒトラーについて学校で習ったら観てみて、これを機により詳しく調べてみると勉強になると思います。 |
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2016.6.8 TEXT by Myson