2015年12月25日より全国順次公開
ギャガ
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天才に生まれなくて良かったな〜とつくづく思ってしまうストーリーでした(笑)。トビー・マグワイアの演技がとてもリアルで、頭が冴えすぎて、まるでコンピューターのようにずっと動き続けているような状態の人ってこんな風なんだろうなと納得できたし、自分でも神経質になっているときって、こういう感覚だなとシンクロしたような状態で、最初から最後まで緊迫感を味わえました。一方で、天才の種類にも別のタイプがあって、リーヴ・シュレイバーが演じたボリス・スパスキーは、一見冷静に見えつつもやはり病んでしまっている部分があって、チェスのような頭脳を使う競技の世界の狂気を垣間見ることができました。本作は実在した伝説のチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの物語ですが、時代背景として米ソ間の関係が今よりも緊迫していたこともあり、彼のドラマチックな人生にも本当に驚かされます。たかがチェス、されどチェスですが、個人でたしなむゲームの域を超えて、国家間の関係にすら影響を及ぼすほど関心を持たれていたという状況も興味深いです。女子向けっぽくない渋い映画ですが、映画好きとしてはトビー・マグワイア、ピーター・サースガード、リーヴ・シュレイバーという名優の競演が嬉しい1作でもあります。最近脳みそを使ってないなという方は、本作で真逆の方々の生態を観察してみてください。 |
ロマンチックな展開も無く、天才チェスプレイヤーの心理描写がメインとなっているので、デート向きの映画という感じではありません。ただ、何かに取り憑かれたように1つのことに必死になり、恋愛相手としては寂しい思いをしている方は、相手に自分を客観視してもらうために一緒に観てもらうのはアリかも知れません。またこういうタイプの執着の強さを感じることもできると思うので、本作の主人公のようなタイプと交際して良いものかと改めて考えたい人は友達と観るか、1人で観てください。 |
観て問題とは言いませんが、キッズ向けではありません。ティーンは興味があれば観てみると良いと思いますが、チェスの攻防戦を観て楽しむのも良いし、被害妄想、強迫観念など、平和な日常を過ごす者には理解し難い状況を観察するのも良いでしょう。こういった状況に陥ると本当に大変だし、自分が今後こうなる可能性もあるかわかりませんが、人間の心理の1つの例として知っておくのは有意義だと思います。 |
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© 2014 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. Photo Credit: Tony Rivetti Jr.
2015.12.22 TEXT by Myson