2011年12月17日より全国順次公開
東宝東和
ま〜、おしゃれな映画でした。この映画を撮ったのは89歳のアラン・レネ監督。すごいですね。長年の人生経験からこういうお茶目で色っぽい作品が撮れるんだろうなと思うと同時に、そのお歳で、このある種のパワフルさを感じさせる本作を撮ったんだという驚きがありました。 まず気に入ったのが冒頭のシーン。なかなか主人公マルグリットの容姿を映さずにずっと後姿とか、体のパーツだけを映していきます。これから始まる物語への興味をそそられました。で、こんな感じでずっとオシャレに神秘的に進むのかなと思いきや、一方の男性主人公ジョルジュの方は、結構めんどくさい感じのおやじで、あまりにやることが無謀過ぎて笑えました。もうストーカーの域まで達していて、普通なら引いてしまうのですが、そんなジョルジュの奥底にある魅力にマルグリットが気がついちゃうという展開が意外な展開で、物語の作り手の懐の深さというか、年の功を感じました(笑)。まあ、このジョルジュのダメさ加減が母性本能をくすぐるという部分もあるのかも知れません。でも、逆に年の功だけあってマルグリットは分別があるんですよね。そこがじれったくもあるのですが、物語をおもしろくする部分で、そんなこんなでこの2人どうなるのかと思いきや、結末には驚きました。ほんとに皮肉な終わり方なんですが、ちょっと笑っちゃう結末。ここで終わっとけば良かったのにねっていう監督からのサインと思われる演出もありました。こんな“効果”を途中で入れるとは斬新です。 本作を観て、人生ってそんなものなのかも知れないななんて思ったりして、まだまだこの作品の奥深いところを理解するには人生修行が足りない私でも楽しめました。ぜひ若い女性にも観てみて欲しい作品です。 |
おしゃれな映画なのでデートで観ると良いですね。登場するカップルは年配ですが、人生のベテランの恋愛とはどんなもんかと若い人も観てみると勉強になるかも知れません。許されざる関係ではありますが、ドロドロしたものではなく、ちょっと皮肉っていてコミカルな展開なので、デート中のカップルをぎくしゃくさせるような深刻なムードではありません。熟年カップルはもちろん、若いカップルにはおすすめですが、ご夫婦で観るにはちょっと奥さんが微妙な気分になるかもです。あまりに物語をリアルに体感してしまう奥様は、観る前に「これはあくまで映画です」と言い聞かせて観ましょう。 |
©F Comme Film.
2011.11.23 TEXT by Myson