2011年9月24日より全国順次公開
ユーロスペース+ぴあ
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第20回PFFスカラシップ作品。バラバラになった家族の日常をたんたんと静かに描いている本作。一見崩壊した家族だから、会話がない家族というのは当然のことながら、セリフがなくここまで見せるのってすごいなと思いました。正直なところ、冒頭は何を表現しようとしているのかわかるまで辛抱がいるかも知れませんが、この家族の実態がだんだんとわかってくると、その各人の孤独があまりにもリアルでちょっと家族を持つのが不安になるくらいに暗いオーラが伝わってきました。特に女性目線で観てしまいますから、この母の孤独感が辛くて辛くて…。どこにでもいそうな家族なので、夫婦の行く末ってこういうのが待ち受けてるんだなとぞっとしましたね。まあ全員がこういう風になるわけではないですが(笑)。 で、最終的に感じたのは、いくら家族と会話をしていなくても、いろいろ言われたくなくてちょっと避けていても、家族のできごとや家族の気持ちは他人事ではなくて、やっぱり何かしら影響をお互いもたらしているという絆を感じました。家族に何か起きるとイヤだけど、何か起きないと気付かないことがあったり、ちょっとこの状況が問題と思っても変えていくきっかけってないから、たまには誰かが「事件」を起こしてみてもいいのかも知れません。私は辛いときは、相手は家族なんだから、ときに自分が壊れてみてもいいんじゃないかなと前向きに捉えました。でもリアルに主婦の方はどんな感想を持たれるのか、ぜひ聞いて観たいですね。 |
ちょっとデートには向いてないかな〜。あと映画を見慣れていない人だと、この世界観に入り込んだり、方向性を理解するまでに時間がかかって、ちょっと辛いかも知れません。わかりやすく「こうです」という表現はしていないので、こういう心理状況に陥った経験のない若い方だとなおさらちんぷんかんぷんかも知れません。逆に長年交際しているカップルや夫婦にはおすすめ。なかなかいつも一緒にいたり、慣れてくると会話をしなくなったり、お互いの心のなかでは何かが起こっているのに話し合ったりしなくなる人もいると思いますが、主人公のような状況にならないためにも、本作で自分たちはどうなのか客観視してみて欲しいと思います。 |
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2011.9.24 TEXT by Myson