TOP > 映画批評TOP > 映画批評カ行 > HERE

検察側の罪人

2018年8月24日より全国公開
東宝
公式サイト

映画『検察側の罪人』木村拓哉／二宮和也白黒つけるのが難しい概念を扱っていて、テーマが深く、すごく見応えを感じました。必要悪とも言い切れない描写に人間という生き物の複雑さがありありと表れていて、結末で悶々とさせられる感覚が、逆に作品の魅力だと思いました。人それぞれに、正義と悪のものさしがあって、誰が正解でも間違いでもないように描かれているので、概念を押しつけられるということもありません。
木村拓哉が演じたキャラクターは彼のこれまでの役のイメージからすると新鮮なものだったし、二宮和也が演じる沖野が被疑者を取り調べるシーンも迫力があり、新しい一面を観られたという印象。脇役も名優ぞろいですが、被疑者役の酒向芳があまりにリアルに不気味ですごくインパクトがありました。検事が主人公と聞くと堅いイメージは否めませんが、ストーリーそのものはシンプルなので、気負わずに観て欲しいと思います。

ロマンチックな展開はちらっと出てくるくらいで、気まずくなるほどのことはありません。テーマは重く、堅いですが、難しい話ではないので、老若男女誰でも感情移入できると思います。お互いの価値観を知る上で、鑑賞後に語りあう内容としてはバッチリだと思います。ただ、初デートや付き合いたての場合は、相手に遠慮をして素直に自分の考えを言いづらいかも知れません。気を使わずに観たい人は友達と一緒に観るか、1人で観ることをオススメします。

キッズにはまだ難しい内容ですが、中学生以上なら充分理解できると思います。正義と悪という概念は、思う以上に複雑です。大人になるとよりそういう事態が身近になってくるし、仕事上での立場と個人の立場で、どのように判断して行動すれば良いか、とても難しい問題が出てきます。そういった部分を考えるきっかけにはとても良いストーリーなので、ぜひ観てみて欲しいと思います。親子で観て語り合うのも良し、友達と一緒に観て語るも良しの映画です。