2013年2月2日より全国公開
ショウゲート
公式サイト 予告編
原作も原作者もよく知らなかったので、前半シーンで宮浮おいが演じる“ツマ”が植物や動物と会話するという設定には驚きました。個人的にこういうちょっとブリッ子な感じの“ツマ”のキャラとテンションに苦手意識があり、最後までこれだったら…とやや不安がありましたが、中盤にさしかかり急にテンションが変わりドラマチックになってきたので後半は物語に引き込まれていきました。特に印象に残ったのは途中の蛇口のシーンで、とても怖いのですが、結果的に前半のファンタジックで幸せ感たっぷりな雰囲気が反作用となって、良い意味で余計に怖く思え、後半の展開への期待感へ繋がりました。可愛くて愛らしい妻役を演じるのが多い宮浮おいですが、こういうシーンは演技力を発揮できる場所なので、女優さんとしての実力がわかりますね。 主人公たちだけでなく、あらゆる夫婦のかたちを描いている点が興味深く、想像していたのとは違う物語だったので最終的には新鮮味を楽しめたのですが、ちょっと物足りないとも思いました。というのも、ツマとムコは秘密を抱えたまま出会ってすぐに結婚したという設定を宣伝キャッチコピーで推していたので、もっとすごい秘密なのかと期待しすぎて若干不完全燃焼だったからです。どうやら私はいろいろ映画やテレビを見過ぎて、ちょっとやそっとの秘密では刺激が足りないようです(笑)。ですが、逆に秘密がどうかというサスペンス的な部分ではなく、夫婦、カップル間で起きる変化、関係性の不確かさ、男女の感情や解釈の違いなどに焦点を当ててみると、とてもリアルでおもしろいです。既婚者や同棲カップルにはより身近に感じられるシーンもあると思うので、ぜひ男女関係の観察と参考に観てください。 |
一見、ほのぼのとしたイメージの作品ですが、途中心理的に怖いシーンがあります。後半はテンションが変わり、暗い展開も少し含まれますので、終始明るく楽しい感動作というわけではありません。ただ、途中にそういう展開はあるものの、愛する人との関係の変化をどう乗り越えて、次に進むのかというのがメインに描かれているので、カップルとしては学ぶことの多い内容です。ぜひ本命デートで真剣に観てください。 |
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2013.1.30 TEXT by Myson