2017年7月22日より全国順次公開
シンカ
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とても不思議なストーリーでした。妻を病で亡くしてから、人の死に何も感じなくなってしまった男。そして摂食障害に陥った彼の娘と、その娘を預かる施設のセラピスト。死を乗り越えようとする時にこの父娘と、セラピストは出会います。セラピストはあらゆる方法で心に問題を抱える少女達を治そうとしているのですが、彼女には霊媒師としての力もあるという展開になっていきます。「おやおやおや?そっちの方向にいっちゃうのかな〜」と思いきや、最後は思わぬ展開に転ぶのですが、登場人物達がどう心を取り戻していくのかは本編を観て頂くとして、すごく淡々と静かに進んでいくノリは、ポーランド映画らしいところなのでしょうね。とにかくジメジメしていた前半の空気が、最後にはカラッとして、笑顔になれるストーリーになっています。それは、ユスティナ・スワラが演じたオルガの、病に陥っているときの表情と、ラストの表情の差にしっかりと現れていますが、結局“何が彼等を癒したか”は考え方次第で、どちらもあり得ると私は解釈しました。大事な人の死を乗り越えることは、まずその死を受け入れることから始まるのかなとも思いましたが、父と娘がようやく同じ位置から死を受け止めることができて初めて、彼等は次の進めるのだと、希望を抱かせる内容だったのが良かったです。 |
派手な展開はなく、とても静かに進んでいくストーリーなので、映画を観慣れていない人だと少し退屈するかも知れません。じっくり1人で観るほうが楽しめる作品だと思うので、デートではなく1人で観るか、映画好きの友達と観るほうが良いでしょう。 |
子どもが観ても問題はないでしょうが、大人向けの内容なので、小学生くらいならまだピンとこないと思います。ただし身近な大切な人を亡くした経験を持っているなら、年齢を問わず共感できるところがあると思います。悲しみの受け止め方、乗り越え方はさまざまで、それは家族内でも同じです。悲しんでいないように見えても悲しんでいたり、他の事に没頭して紛らわしているだけだったりもします。そういった面を客観視できる要素もあるので、人の心を知るために、興味があれば観てみてください。 |
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2017.7.19 TEXT by Myson