2015年11月14日より全国公開/PG-12
松竹ブロードキャスティング 、アーク・フィルムズ
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この意地悪さ、毒々しさ、大変好きです(笑)。とことんまで人生のどん底まで叩きつけておいて、ちょっと這い上がったらまた運命にいじめられるキャラクターたち。それでも、人生ってちょっと素晴らしいって最後は思わせてくれる甘さ加減がなんとも絶妙です。そして、このストーリーを『恋人たち』と名付けるセンスがまた素晴らしい!綺麗事じゃない恋人達の姿がいくつも描かれた本作は、世間一般のラブストーリーとは異なりますが、いかにも人間臭いラブストーリーが描かれています。それはとてもカッコ悪いラブストーリーと言えますが、これこそがリアルなラブストーリーだなとも思います。そして、キャストの演技もまたリアル。特に主婦を演じた成嶋瞳子が凄いです。どこにでもいる中年女の1人として登場したかと思えば、上半身裸で浮気相手と戯れたり、オシャレをして少女のようにはしゃいだり、普通の主婦が心のなかの変化でこんなに変わってしまうんだというのを生々しく演じていました。まだ映画への出演作は多くなさそうですが、遅咲き女優として花開いて欲しいです。そしてゲイの男を演じた池田良も存在感抜群。一見さわやかな笑顔の奥にクレイジーさを秘めているキャラクターがどハマリですごくゾッとさせられましたが、同時に孤独を抱えている気の毒な人という雰囲気も相まって、観ている側に何とも言えない感情を呼び起こします。他にも安藤玉恵もおもしろいキャラクターを演じていて、悲壮感が漂う本作にユーモアをもたらしていました。 皮肉と毒と、ちょっぴり優しさも入った本作は、恋に恋しちゃっている脳天気な人、逆に恋に疲れちゃった人にオススメです。 |
『恋人たち』なんてタイトルから、ロマンチックなストーリーだと思い混んで観ちゃうと偉い目に遭います(笑)。恋人達の話ではありますが、デートの雰囲気が盛り上がるような甘いストーリーではありません。でも、観た後に語り甲斐のある作品なので、安泰なカップルなら一緒に観て、いろいろと感じたことを意見交換してみるとおもしろいでしょう。マンネリ化したカップルや夫婦は、相手に警鐘を鳴らす意味で見せるなら効果的シーンもありますよ(笑)。 |
PG-12なので、12歳未満のキッズが観るなら大人と一緒に観るべきですが、大人向けの映画なので、今敢えて観なくても良いと思います。『恋人たち』というタイトルですが、恋愛だけではなく、人生の辛さを描いている作品です。生きていくなかでいっぱい辛いことや挫折を味わってから観る方が感情移入できるので、もっと大人になって人生に行き詰まったら、この作品のことを思い出してください。 |
© 松竹ブロードキャスティング / アーク・フィルムズ
2015.11.9 TEXT by Myson