2016年12月24日より全国順次公開
東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト
第二次大戦中はドイツに、大戦末期からはソ連に占領されていたエストニアで、身の危険にさらされながらも子ども達の未来にかけた、フェンシングの元スター選手の実話。戦時中ドイツ軍に所属していたことから、ソ連の秘密警察に追われていたエンデルは、身を隠すために田舎町にやってきます。体育教師として雇われた彼は、校長から運動クラブをやれと言われますが、どんなスポーツをやろうにも、道具も何もない状況。頭を悩ませながら、体育館で自身が持っていたフェンシングの剣を手にしていると、1人の生徒に見られ、教えて欲しいと言われます。身元を隠したい彼はフェンシングで目立つことを控えようとしていたのか、最初は乗り気ではありませんでしたが、子ども達の目がどんどん輝いていくのを見て、徐々に変わり始めます。子どもが苦手な彼と、そんな彼に希望を抱く子ども達。彼と同じように兵士だった父親や家族を奪われた子ども達もたくさんいる状況のなかで、いろいろな思いが交錯していきます。 というわけで、本作はフェンシングにまつわるただのスポ根、サクセスストーリーではありません。戦争が落とした暗い影とは切り離せない内容だからこそ、スポーツの存在により深い意味があります。まさに多くの子ども達、そして主人公エンデル自身の人生を救ったフェンシング。命も大事だけれど、生きる喜びも大事。そんな事を教えてくれる物語です。そして、個人的にもう一つ言っておきたいポイントが!海外ドラマの『スニッファー 嗅覚捜査官(オリジナル版)』でお馴染みキリル・カロが、主人公の友人役で登場していますよ。ぜひその点にもご注目を。 |
思いのほか、ロマンチックなシーンがふんだんにある本作。でも、時代背景のせいもあってか、ほとんどが初々しいプラトニックなシーンなので、気まずくなる心配はなく、ラブシーンはちょうど良い描写となっています。愛する人が生き甲斐を見つけて、活き活きとしていく姿に喜びつつ、同時にそのために身の危険を覚悟することになるのを見届けなければいけない彼女の立場、そして主人公本人の立場。男女それぞれに感情移入できるポイントがありますよ。 |
戦時中から戦後のドイツ、ソ連の立場や時代背景など、基本的に理解しておかなければいけない事柄があるので、ある程度学校で習うくらいの年齢になってから観るほうが、有意義に観られると思います。ティーンの皆さんは、生徒達の目線で共感できるところがあるはず。スポーツが自由にできる私達の環境はとても恵まれていますが、だからこそ今いる環境に感謝して、スポーツに限らず、できることを一生懸命やりましょう。 |
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■TJE Selection イイ男セレクション/キリル・カロ
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2016.12.12 TEXT by Myson