オランダ本国で動員30万人を超える大ヒットを記録したという本作。おやじ4人組が自分たちが働く工場を守るために、スポンサーをつけてマラソン大会に出るために奮闘するというストーリーです。素人がスポンサーを付けてマラソン大会に出場しお金をもらえるという設定が「そんなのでお金を出してもらえるの?」と不思議に思いましたが、それはさておき、これは日頃仕事熱心なわけでもなくお酒とカードゲームに明け暮れているメタボなおやじ4人組が、やったこともないマラソンをやることでちょっとだけ成長する冒険を描いているという点でおもしろいのだと思います。しかも元がグダグダな彼らはちょっとやそっとじゃ頑張りません(笑)。普通の映画なら、頑張って徐々に強くなって最後に勝つか負けるかというところにハラハラドキドキさせられたり感動させられるように作るのでしょうが、この映画は世間一般の人にとても近いキャラクター設定で描かれていて「わかっちゃいるけど、今までと変わらないのが楽」という状況に甘んじてしまう姿がとてもリアルで親近感が湧きます。だからオランダ本国の多くの人たちから支持されたのかも知れません。綺麗事は描いておらず、ラストもちょっぴり切ないですが、彼らに揺るぎなくあるのは友情で、その男たちの友情も共感ポイントです。カッコ悪いけどちょっとだけカッコ良い(笑)。すごく頑張るのは自信がないという方でも、自分も彼らのようにちょっとなら頑張れると思わせてくれる作品です。
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物語の軸はおやじ4人組がマラソンを通して日常が少しずつ変わっていく様を描いているのでラブストーリー要素はほぼありませんが、彼らそれぞれの夫婦問題にも焦点を当てているので、夫婦で観ると自分たちを客観視できて良いと思います。一部性的描写が出てきますが、露骨なので逆にイヤらしいという感じではありません。ただそういう行為をしているシーンなので、観る人によってはきまずいと感じるでしょう。それ以外はデートで観ても問題ありません。 |
父と息子の物語もあるので、子ども目線でも何かしら感じる部分はあるでしょう。その息子はティーンなので親への反抗心や素直になれない気持ちに共感できると思いますが、一方で親がどれだけ子どもを思っているかも客観視できると思います。本作を観て、どんなに無様でも頑張る姿はカッコ良い、自分も何か取り組んでみよう、そう思ってくれたら嬉しいです。 |