2017年1月21日より全国公開
東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト
本作は、フランス史上初の黒人芸人ショコラと、相方の白人芸人フティットの実話を映画化した作品。コメディアンの物語なので楽しいストーリーなのかと思いきや、もちろん、そればかりではありません。舞台は20世紀初頭。フティットは低迷期の芸人で、サーカスに売り込みをするもお払い箱。そんなとき、そのサーカスにいたショコラを見つけ、コンビを組もうと声をかけます。ショコラはそのとき、食人族に扮したキャラクターに扮してサーカスの賑やかしをしていましたが、そんな役に甘んじていてはいけないというフティットの誘いにのり、2人はピエロのコンビとして活動。サーカスの団長は半信半疑でしたが、観客の反応は上々で2人はめきめきと頭角を現します。そうして前半は2人のサクセスストーリーが描かれるのですが、当時はまだ人種差別が色濃くあった時代。黒人初の芸人として売れっ子になったショコラでも例外ではありません。ショコラの変化を観ていると、人は幸せを知れば知るほど、自分がいかに不幸であるかも実感するのだなあと切なくなりました。でも、一度幸せを知ったらそれを失うのが怖くなります。だから、人は幸せになりすぎるのを怖がるのかも知れないと、ふと思いました。相方を利用しているわけではないけれど、現実を見据えながら2人がうまくやっていける方法を模索したフティットの気持ちもとても複雑だったと思います。ラストでパフォーマンス中の彼らの実際の映像が流れますが、笑いを届けていた裏で、こんなに辛い思いをしていたと思うと、心が痛みました。でも、人生をかけて笑いを世に振りまいていた2人の勇姿をぜひ観て欲しいと思います。 |
カップルで観て気まずいシーンはないので、デートで観るのも良いと思いますが、切ないストーリーということは知った上で観たほうが良いでしょう。コメディアンの物語ですが、当時の社会風刺的な要素を含む笑いが盛り込まれているパフォーマンスなので、現代の日本人が観て笑えそうなツボはそれほどありません。そういった意味では、笑いのツボなどが不一致する心配もないと思います。 |
人種差別の背景などがわかっていないと深く理解できないので、キッズにはまだ難しい内容だと思います。ストーリーそのものが難しいわけではないので、中学生以上なら、興味があれば観てみると良いのではないでしょうか。シチュエーションは違っても、こういった状況は私達の日常にも置きかえられる部分があると思います。おもしろい事をしている人を笑うのと、人を笑いものにするのは違います。そういった部分の違いも観て感じてもらえたら嬉しいです。 |
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2017.1.18 TEXT by Myson