本作では“曳山”という行事がキーワードになっているのですが、冒頭である街のグループが“曳山”を巡って怒り心頭になっている様子から、曳山の価値について関心が湧きました。ただ最初は正直曳山について熱くなっている人達のテンションに追いつけない感覚はありました。でも後半で、それがどういう意味なのかを語るのが本作の目的であると気付き、物語の構成に納得がいきました。また、竹野内豊が演じる大手IT関連企業のCEOが、旧友との“再会”によって、人生で立ち止まるということを覚え、どこで何を失ったのかに気付く姿には共感できました。一生懸命生きてきて何も悪くないと思っていても、あまりに必死過ぎて「幸せかどうか」を考える暇がないまま人生を終えるということもありそうですよね。さらに人と繋がらなくても生活はなんとでもできる便利な世の中になった現代社会では、人との繋がりの大切さは意識しないと感じられないのかも知れません。でも客観的に考えてみたら、「自分の幸せかどうかよりも、世間的な成功にこだわり、人との心の繋がりを持たず暮らしていく」なんて、人間として生きている意味があるのかなとふと思ってしまいます。会社は誰のためにあるのかという視点も描かれていたり、観る人それぞれの視点で楽しめる作品です。 |
仕事一筋で生きてきて、いつの間にか孤独になっていたけれど自覚がない“裸の王様”状態の主人公の姿は、仕事人間の人には良い刺激になると思うので、そういう方とおつきあいしている人、自分が仕事人間過ぎて恋愛を楽しめないという人にはぜひデートで観て欲しいと思います。基本的に人との繋がりの大切さを描いているので、本作を観て共感し語り合えれば、今後の関係も少し改善されるかも知れませんよ |
人との繋がりが大事だと言われても、大人の感覚とはまだ異なるキッズにはピンとこないかも知れませんが、大事なメッセージが込められている作品なので、感覚的にでも観て損はないと思います。徐々に大人の手を離れ、自分の世界が出来上がってくるティーンの皆さんは大人と変わりなく理解できると思うので、改めていろいろな人と触れあって生きていくことの意味を考えてみてください。 |
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2015.12.22 TEXT by Myson