2015年2月28日より全国公開
東映
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遠い昔に離ればなれになった父の帰りを待つ娘と、2人の子どもを抱えるシングルマザーの再生の物語。監督は台湾の女性監督姜秀瓊(チアン・ショウチョン)。“さいはて”という言葉がタイトルに使われているだけあって、本当に人里離れたところが舞台となっていてどこか異国な感じに見え、さらに外国人監督だからか、どこか邦画の雰囲気とは異なりました。また、女子が2人揃えば、恋愛の話ももっとあるのかなと思いきや、それぞれの親子の話がメインとなっていて、良い意味で裏切られた感が良かったです。そして、本作では佐々木希がやや汚れ役をやっていて新鮮。まだお母さんキャラのイメージはないですが、若くして子どもを持ったという設定なので違和感もなく、若さゆえに自分の恋も捨てられない気持ちと子どもへの責任のあいだで揺れるキャラクターを演じており、だんだん、女優さんらしくなってきたなあと思いました。 タイトルからは全編的に癒し系かと思いつつ、意外にシリアスな展開が多い本作。ハラハラする展開で“さいはて”という場末感がすごくよく出ていつつ、合間に入る“コーヒーのやさしい香り”という癒しの要素が徐々に流れを変えていきます。本作は、何か自分のなかで処理できないできごとをずっと抱えて時間が止まってしまっている人の心が動き出す様を描いていますが、ときにはこうやって気が済むまで待つというのも必要なのかも知れません。人生の流れを変えたいと悩んでいる女性にぜひ観て欲しい作品です。 |
デートで観ても支障はないですが、娘として、母として…という女心を中心に描いた作品なので、一緒に観るなら女性同士のほうが共感しやすいでしょう。また、心の内部にいろいろと投げかけてくるものがあるタイプの作品なので、じっくり一人で観る方が良いのではと思います。やさぐれたタイプの男と付き合っている人は、自分の現状を客観視することになり、今後どうするか考え直したいと思うかも知れないので、一緒に観るのはやめておきましょう。 |
大人の女性の物語ではありますが、結構子どもキャラクターも活躍するし、学校での給食代の問題など身近な話題も出てくるので、キッズでも興味が湧くポイントがあります。大人が観る視点とは違うかも知れませんが、子どもは子どもなりの楽しみ方で観てみるのも良いと思います。親子で感想を言い合うと、新しい視点がお互いに発見できておもしろいのではないでしょうか。 |
©2015「さいはてにて」製作委員会
2015.2.9 TEXT by Myson