2015年2月28日より全国順次公開
ビターズ・エンド
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原作者の長岡秀貴は、高校球児だった頃に原因不明の半身不随になりながらも恩師の支えで日常生活が送れるまでに回復したという経歴の持ち主。そこだけ聞いても壮絶だなと思うのですが、本作はそこに焦点を当てているわけではなく、彼が自分で学校を作ろうと、5年間務めた高校教師を辞め、新たなスタートを切るところから描かれた実話です。映画化されるくらいですから、ドラマチックな人生ではありますが、ここで描かれる幸運は降って湧いてくるようなものではなく、主人公とその仲間達の行動や努力が報われる形で描かれているので親近感があります。全財産が725円になるいきさつや、高校教師をあっさり辞めてしまったり、お金を稼ぐために本を書いて出版するという発想は、ビジネス目線でもおもしろいと感じるところがありました。さらに、ボランティアで働く元生徒達とのやりとりも、人の価値観、働く目的、チームでの役割分担などについて考えさせられます。 一方で、やはりキーとなるのは不登校となっている子どもたちの現状です。親が問題を抱えていて子どもが不登校にならざるを得ないケースもあれば、子ども本人が心に傷を抱えていることもあり、ただ学校を設立し経営するだけではない、社会貢献という大きな目標がある点も興味深かったです。あらゆる面で、ただのサクセス・ストーリーで終わっていない本作。昨今の学校事情、子どもの現状を知るきっかけにもなる映画です。 |
ロマンチックなムードになるような内容ではありませんが、主人公を影で支える妻の姿も描かれており、人生の価値観を問う内容なので、一緒に観てそれぞれに感想を述べ合うと、人生で求めているものが何となくお互いにわかるでしょう。自分のやりたいことがはっきりしていて、端から観たら冒険的な選択をする彼氏や旦那さんを持つ方も一緒に観ると良いでしょう。男女それぞれの立場で、お互いの姿を客観視できると思います。 |
これは実話なので、キッズやティーンの皆さんにも本作を機に、問題を抱える生徒達を助けようとする人達の存在をぜひ知って欲しいと思います。もし、悩み事を一人で抱えているならば、世の中には自分に味方をしてくれる人がいるんだということを知るだけでも心強くなれるのではないでしょうか。また身近に不登校になっているお友達などがいたら、少しその人たちの気持ちも想像できるようになれると思います。 |
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2015.2.17 TEXT by Myson