2018年3月3日より全国公開/PG-12
ファインフィルムズ
公式サイト
『ロブスター』がとても不気味で独創的な世界観だったので、それからヨルゴス・ランティモス監督作には注目しているのですが、今作も期待通りでした。タイトルにある“聖なる鹿殺し”って、どういう意味だろうと思いましたが、ある意味そのまんま。そんなことが起きるはずないと思って観ているのですが、ジワジワと恐れが現実になっていくゾッとするお話で、非現実的な設定と現実的な設定の境界線の良い意味での曖昧さが、コリン・ファレルが演じる医師スティーブン一家の恐怖をリアルに想像させます。スティーブンが気にかけている青年マーティンが物語の鍵を握っているのですが、バリー・コーガンがとても不気味に演じていて見事でした。 すごくクレイジーなお話で、結末にも唖然としてしまいますが、なぜか仕方がないと思わせてしまう説得力があり、余計に怖いです。ストーリー、演出、キャストすべてに実力を感じる秀作です。 |
ゾクゾクと心理的に怖いお話なので、デートの雰囲気が盛り上がるというタイプの映画ではありません。ただ、観た後に話したくなる強烈さもあるので、映画が好きなカップルには良いと思います。コリン・ファレルとニコール・キッドマンが演じる夫婦の夜のやりとりも奇妙なので、ウブなカップルには少々気まずいシーンとなる可能性があります。奇想天外なお話なので、映画を観慣れていない人は少し唐突に感じる展開もあるかも知れませんが、ヨルゴス・ランティモス監督の『ロブスター』を先に一緒に観ておくと、世界観にすんなり入り込めると思います。 |
ホラーとは違いますが、いろんな意味で怖すぎるので、キッズには不向きだし、PG-12なので大人と一緒に無理して観なくても、中学生になってから観ると良いと思います。ティーンの皆さんはバリー・コーガンが演じるマーティンが抱える埋められない喪失感や、医師スティーブンの娘の好奇心に感情移入して観られるように思います。何が正しいのか答えのない哲学的なストーリーですが、だからこそおもしろいので、ぜひ友達と観て語り合ってください。 |
関連記事:
■TJE Selection イイ男セレクション/コリン・ファレル
■TJE Selection イイ男セレクション/バリー・コーガン
©2017 EP Sacred Deer Limited, Channel Four Television Corporation, New Sparta Films Limited
2018.2.28 TEXT by Myson