トルナトーレ監督らしい、ユーモアと切なさが合いまった表現が良い!子供の無邪気さや愛らしさ、子供と大人との関係性、何気ない日常を描きつつ、子供目線と大人目線の両方でぐっと心を掴まれます。本作は時代設定が交錯し、若干わかりにくい部分もありますが、1本の映画を観ているのに、シーンによって観客の目線も変わるような気がします。さっきは子供ペッピーノの立場、次に大人になったペッピーノの立場、途中でペッピーノの娘の立場、そして妻の立場…と描写に合わせて、いろんな立場での感情を揺さぶられます。不思議〜。 トルナトーレ監督の自叙伝とも言われる本作ですが、辛くても明るく、夢と思想を追究する、愛するものを諦めない…、そういったことを描きながら決して説教くさくないのがさすがです。今回も『ニュー・シネマ・パラダイス』と同様、映画館、映画がポイントとして出てくるのですが、映画が人生を大きく変えたというポイントも、個人的に共感しました。 本作の音楽はもちろんエンニオ・モリコーネ。そして、『マレーナ』で監督とタッグを組んだモニカ・ベルッチがカメオ出演しているのも見逃せません。この作品は監督が2007年に暴漢に遭い、生死を彷徨いながらも回復したことを機に、生きる素晴らしさを実感し描いた作品と言われています。それがラストシーンに表れているのかも知れません。何のことかは観てのお楽しみ。 |
デートで観たら素敵な作品だと思います。ただ、とっても長いし、時代が交錯するので少々展開がややこしいため、両者に集中力と興味がないと辛いでしょう。エンニオ・モリコーネの音楽が心地良く、眠気が来るかも知れません。あとは同監督作品『ニュー・シネマ・パラダイス』ほどわかりやすい物語ではありません。家族のストーリーを淡々と描いています。そこで何を感じるかは本来自由ですが、どんな作品でも映画を観るときにどんなメッセージがあるのかを感じられなければ気が済まないという方は、事前にこの映画のいきさつ(特に監督について)などを予習していくと良いかも知れません。 |
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2010.11.13 TEXT by Myson