2011年4月2日より全国公開
東北新社
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オープニングで車が空き地を何周もただ走っているシーン、ポールダンサーが部屋で踊っているのをただ眺めているシーンと、「なんだろう?」と思わせるところから始まり、次第にそれが主人公が味わっている空虚感をリアルにこちらに実感させる演出なのかなと思いました。こういう感じ、ソフィア・コッポラっぽいですね。 本当にセリフが少なくて、とても静かに展開していくのですが、逆に主人公の心の変化はかなり起きているんだなと感じさせる演出でうまいなと思いました。ちょいちょい、真面目にやってるのか、笑わせようとしているのか滑稽なシーンがちらほらあるのですが、それも「見た目は華やかな世界にいる主人公は、見方を変えるとピエロのように悲しい」という抽象的な表現にも思えて、そのあたりもさすがだなと思いました。こういうところにもソフィア・コッポラのセンスの良さが出ていて好きです。 主人公ジョニーと、娘のクレオの関係は、フランシス・フォード・コッポラ(父)とソフィア・コッポラ自身の体験談ももとにしているのかなと思われるシーンがあり、華やかな世界で成功しつつも周りに振り回されているのか、自分で望んでそこにいるのかわからなくなっている父親を、ときに娘ながら見守る姿という構図が微笑ましくもあり、切なくもありました。でもとっても愛に満ちた映画でした。結末ではっきりと「主人公はこう決意しました」とも何とも言っておらず、彼がどこに向かったのかもわからないところがまた良いですね。タイトルはそんなところにもリンクしているのだと思いますが、いろいろと語り甲斐のある要素を含んだ映画で、とても良かったです。ダコタの実妹エル・ファニングもかわいくて演技も上手い。ぜひ、映画好き女子におすすめしたい映画です。 |
抽象的な映画を見慣れている、抵抗感がないカップルなら良いと思います。逆にあまりそういうのに慣れていないと、セリフも少ないし、劇的な出来事も起こらずに展開していくので、もしかしたら退屈に感じるかも知れません。ただ、その分、主人公の設定は特殊とは言え、かなり日常に近い描写が多いので、「忙しくて、自分の今と向き合っていない」ような人にはとても刺激的な内容だと思います。スティーヴン・ドーフが演じる主人公ジョニーのような中身が空虚だけど自分で気づく暇がなさそうな男性は現代には多い気がするので、忙しすぎる彼がちょっと心配という方は連れて行くと良いと思いますよ。 |
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2011.3.14 TEXT by Myson