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空飛ぶタイヤ

2018年6月15日より全国公開
松竹
公式サイト

タイトルだけ見て、技術開発にまつわる爽やかな人間ドラマを想像してしまっていましたが、ハラハラドキドキが止まらない社会派ドラマで、とても見応えがありました。車の不具合による交通事故が起こり、その責任は誰にあるのかという、心穏やかに観られないテーマなので、終始胸がキュ～ンと痛みました。いわゆる大企業・大組織vs中小企業という構図のバトルが繰り広げられるので、中小企業を経営されている方は、他人事には思えない恐ろしさを感じると思います。私自身は大企業に勤めたことがないので、大企業に務める方のご苦労はわかりませんが、「あ～自分には向いてないわ」とつくづく思いました（笑）。どっちが良い、どっちが正義という話ではもちろんなくて、どちらの側にいても、どんな行動をとるのかは最終的に個人の意志であって、それぞれのキャラクターに共感できる部分はあります。もちろん、全く共感できない自己中心的で強欲なキャラクターもいますが、日本の社会、いや万国共通と言っても良い、社会の縮図が描かれている点で、とてもリアルだし、感情移入して観られます。お仕事をされている大人はもちろん、引退された世代の方、これから就職する学生にも観て欲しい1作です。

程度の差はあれ、組織に属していれば、似たような問題にぶつかったことがあると思えるストーリーで、無念な思いをした経験がある人が本作を観たら、デートの気分も吹っ飛んでしまうかも知れません。また、会社のことで悩んでいたら、自分の気持ちを試すきっかけになって良い刺激を得られる可能性もありますが、主人公と反対のタイプの人の場合、どう受け止めるのかが予想が尽きません。敢えて、相手の反応でそういう部分を知りたければ、一緒に観てはいかがでしょうか？

大人達の熱い闘いを、キッズやティーンの皆さんがどう観るのか、大人とは少し違った視点もあるのかも知れませんが、興味があれば観てみてください。小学生には少し難しく感じる内容かも知れませんが、中学生以上なら充分理解できると思います。どんな大人になりたいか、考えるきっかけになると思います。

2018.6.6　TEXT by Myson