ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督が、以前、日本で聞いた「帰って来ない親を施設で待ち続ける子どもの話」をもとに生まれた本作。父親に見捨てられて児童養護施設に預けられた少年が主人公なのですが、この少年シリルの不安やいらだちがとてもリアルに描かれていて、シリルを演じる子役のトマ・ドレ君の名演技は見ものです。父親がとてもドライで愛情はほとんど感じられないのですが、それでも父から愛されたいと必死なシリルの姿がとても切ないです。でも、そんなシリルの週末だけの里親になる女性サマンサ(シリルとは全くの他人です)が現れ、シリルに変化が出てきます。ただやっぱり愛に飢えているシリルは、サマンサに愛されながらも、危ない方向に行ってしまい、それもまた切ないんですよね。子どもってやっぱり何をされても親のことが好きというのはあるんでしょうね。虐待されている子どもでさえ、親のことをかばうと聞いたことがありますが、親子の関係というのは想像以上にとても大きなものなんだと実感しました。だからこそ、それでも親と一緒にいることを選択できない子どもの心境って計り知れないほど辛く、こういう展開もありえるなと思いました。そういう描写がリアルなので余計に後半の展開にハラハラしましたが、それを受け止めるサマンサの母性にも驚かされました。子どもの愛、女性の母性の大きさを実感させられる本作。最後の最後までハラハラさせられますが、結末は温かい気持ちになれる作品です。 |
これはぜひご夫婦で観て欲しい作品だと思いました。子どもの心境、親への愛を感じる作品なので、お子さんがいる方や、これからお子さんを持つ方にはとても感じる点がある内容だと思いました。あと、主人公シリルの里親になる女性サマンサと彼氏の関係も出てきますが、男女の価値観の違いについて考えさせられる部分もあります。ウキウキデートで観るタイプの作品ではないですが、ご夫婦や、真剣なおつきあいをしている者同士で家族になることを考えているカップルにも良いと思います。 |