2017年11月18日より全国順次公開/R-15+
日活、東京テアトル
公式サイト
かつて福岡で実際に発生した、家族4人全員に死刑判決が下った強盗殺人死体遺棄事件。その次男による獄中手記をベースにした原作『我が一家全員死刑』(コアマガジン/小学館文庫刊)をモチーフにしたのが本作です。脚色された部分がどこなのかはわかりませんが、恐ろしいのは、強盗殺人、死体遺棄が、この家族にとっては日常化しているところ。お金がないから人を殺して奪うという短絡的な動機で、罪悪感は見受けられません。家族愛や恋人への愛、見知らぬ老人への優しさはあるのに、人を平気で殺してしまう神経も併せ持っているという矛盾。異常に見えて、どこにでもいそうなこの家族を観ていると、本当にゾッとします。殺そうとしてもなかなか相手が死ななかったり、一見滑稽なシーンもありますが、滑稽さと残忍さを同居させて描く、小林勇貴監督のセンス、キャスト達の演技力は見事です。間宮祥太朗が演じる次男が、善と悪で揺れるキャラクターのようにも見えましたが、生まれついた家族が違えば、善人になれたかも知れないと思うと、やるせなさも感じます。女子向けではありませんが、映画好きには観て欲しい強烈な1作です。 |
兄弟で恋人を共有しているような素振りがあったり、常識では考えられない世界が描かれているので、自分達に当てはめて観て気まずくなることはないとは思いますが、残忍なシーンが何度も出てくるので、デート向きとは言えません。キャラクターのオラオラ感に感化される男子がいるかも知れませんが、実際に起きた殺人死体遺棄事件をモチーフにしているだけあって、真似されても何だか複雑な気分にもなりそうです。 |
R-15+なので、15歳未満の人は観られませんが、15歳以上であっても、分別を持って観て欲しい作品ではあります。エンタテインメントとして割り切って観られれば良いですが、本作は本当に起きた事件がモチーフになっているということを理解した上で観てください。人がなかなか死なないという描写が出てきますが、絶対に遊び半分で真似しないように! |
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©2017「全員死刑」製作委員会
2017.11.13 TEXT by Myson