独特の冷たい空気感を持った作品で、ノオミ・ラパスが演じている主人公の孤独感がとてもリアルに伝わってくる演出でした。暴力夫のもとから息子と逃げてきた主人公のアナは、行き過ぎと思われるほど心配性なのですが、これは母ならば当然のことなんでしょうね。どうしても息子と離れたくないという思いが強く、彼女の生活は恐怖に支配されている様子がよくわかります。でもそういう視点でずっと観ていると、途中で様子が変わってきます。不可解なことがたくさん出てきて、スリリングな展開になってきますが、いつの間にか本作の仕掛けに騙されていました。
「人は何を見ているか」「何が見えているか」って、基準や共通のものはないんでしょうね。誰の見ているものが現実で、非現実かなんて、どこにも調べる術はなく、自分が見ている世界は自分が見えている世界でしかないんだなと感じた映画でした。映画好きのヘビーユーザー女子にオススメの映画です。 |
映画好きのカップルならデートで観るのもありでしょう。ただ、「家庭内暴力」「虐待」というテーマも含まれているので、敢えてデートにオススメというタイプの映画ではありません。エロシーンは出てきませんので、友達以上恋人未満のカップル、つきあいたてのカップルでもぎくしゃくすることはなさそうですが、暗い映画ではあるので、ウキウキしたデートの日には避けた方が良いでしょう。 |
キッズ向きでは無さそうなのはおわかりの通りですが、中学生以上なら理解できる内容だと思います。ただ「虐待」の内容も出てきますので、お子さんの理解を大人が助けるのは必要だと思います。「虐待」について言葉で説明するなら辞書で調べれば良いという話になってしまいますが、そうではなくて、それよりも深い部分にある「虐待はなぜ起こるのか」「どこからが虐待なのか」「虐待されている子どもたちはどういう心境なのか」ということなども一緒に考えて話をして欲しいと思います。 |