2014年3月29日より全国公開
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主演は『ワン チャンス』でお父さん役を演じていたコルム・ミーニィ。本作では、職を失い故郷に帰ってきた元時計職人の男性が、1人の青年と出会ったことで少しずつ変化していく様を描いています。冒頭がとても想像力をかき立てるシーンで、「彼に何が起きたのか」という好奇心を抱かせます。外的には派手な展開が起こるわけではないですが、住むところも追われて車中で暮らしている主人公の近くに車を停め同じように車中で暮らす青年の存在は“悪”なのか“善”なのか、プールで出会った女性は主人公に好意があるのかどうかなど、物語に引き込む要素をさりげなく上手く盛り込んでいて、主人公の心のなかでは大きく揺れ動いて変化が起きているということがよくわかります。そういう意味ではとてもドラマチックです。そして資料の監督インタビューによると、本作はアイルランドのバブル崩壊ののちに溢れていったホームレスの人たちをモチーフに描かれたようで、国は違えど日本でもバブル崩壊後やリーマンショックのあとに同じような光景があったのでとても身近な話に感じました。でも、本作は辛いだけで終わらず、主人公はホームレスになっても人間としてのプライドや良心は捨てずに頑張っていて、希望が持てるラストなので、共感できる内容です。今現在職が無く悩んでいる人が観るとあまりにリアルに考え込みすぎて楽しめるかわかりませんが、自暴自棄な状態なら逆に少し客観視できて良いのではと思います。 |
おじさんが主人公でちょっとロマンスもあるけれど、派手でわかりやすい展開がある作品ではないので、ピンと来る人来ない人が分かれそうです。就職や転職で苦労をしている人が観ると、映画と割り切って観られずに急に現実的なことに思考がいってしまい、デートで映画を一緒に楽しんでいるという感覚になれなくなる可能性はあります。デート相手の現在の状況と好み次第で誘ってみてください。 |
キッズにはまだ理解しづらい内容です。ティーンは、主人公が友だちになる青年の目線で観ると共感できるところがあるかも知れません。人の心の変化を静かに描いていてわかりやすいストーリー展開ではないですが「誠実でいること」「正直であること」「人を信じること」など人として大切なことが描かれています。「自分ならこういうとき、どうするだろう」と考えながら観るとより感情移入できて楽しめると思います。 |
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2014.3.29 TEXT by Myson