2014年11月15日より全国公開
スターサンズ
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「劇画」という手法を生み出した辰巳ヨシヒロの5つの代表的な短編マンガを挟みつつ、彼の半生を描いた本作。辰巳氏は日本での知名度はあまり高くありませんが、世界での注目度、評価はかなり高いようで、本作もシンガポールのエリック・クー監督によって作られました。私も辰巳氏については知りませんでしたが、文化を築きあげてきた人が必ずしも然るべきところで有名になるとは限らないんだなという人生の皮肉と同時に、そういう人生だからこそ余計に彼の人生がこういう映画になったときによりドラマチックに見えておもしろさを増すのだなという皮肉も感じながら楽しみました。劇中に織り込まれた5本の作品も、それぞれに毒々しいものがあり、良い意味で陰気臭くて好きです。その毒々しさもそれぞれに異なるのですが、これは彼の人生経験などから変容していっているのかななどいろいろな想像を掻き立ててくれて、作品を観て辰巳氏に興味が湧き、辰巳氏の半生を観て彼の作品をよりおもしろく感じるという相乗効果がうまく活かされた作りになっています。短編マンガに関していうと、男の性(さが)と不条理な運命が描かれていて、女性目線でも楽しめますよ。 |
デートムービーという感じではないですが、デートで観ても楽しめる内容です。アニメとして観ないで、絵で描かれたドキュメンタリーに短編マンガが織り交ぜられた大人向けの作品として観て欲しいと思います。男女についてのストーリーもあり、男性目線、女性目線でそれぞれに感想が出てきそうな内容です。観終わったあとに、「あのストーリーが好き」「私はこっちが好き」と気楽に感想を言い合える作品です。マンガそのものに興味がある人もない人も楽しめますよ。 |
辰巳氏の半生を振り返る部分はキッズが観てもためになると思いますが、短編マンガの方には、実写ではない分、衝撃は少ないにしても、キッズにはちょっと怖い内容も含まれます。そもそも辰巳ヨシヒロ氏が命名した「劇画」は大人のための作品だったことも考えるとキッズ向きではありません。ティーンは十分理解し楽しめる内容なので、日本文化について興味を持つきっかけにしたり、新たに知識を増やすのにも良いと思います。 |
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2014.11.11 TEXT by Myson