1978年、スイスで実際に起きた“チャップリン遺体誘拐事件”をもとに描かれた本作は、なんと遺族の全面協力を得て映画化され、なおかつ孫娘のドロレス・チャップリンがチャップリンの未亡人役、息子のユージーン・チャップリンもサーカスの支配人役として登場しているというミラクルな作品です。なぜ『チャップリンからの贈りもの』というタイトルなのかなと思っていたら、結末で解明!チャップリンが彼の映画のなかで訴えてきた精神のようなものを感じさせる結末に心が温かくなりました。そして、この映画化もそうですが、子孫の皆さんもそういう精神を引き継いで来られているんだなと思うと、ますますステキだなと感じました。
ストーリーは、2人の貧しい移民が生活苦のため、チャップリンの遺体を墓から奪い、身代金を要求しようというもの。なかなか斬新な犯行を思いついたは良いけれど、犯行計画は穴だらけでどんどんドツボにはまっていく犯人たちの様子は、それ自体もチャップリンの物語に通じる喜劇的な部分があり、どこか憎めないキャラクターの犯人たちを見守るような気持ちにさせられます。墓から遺骨を盗むなんて普通なら不謹慎で罰当たりな行為としてバッシングの嵐になりそうですが、とても温かい結末に驚き、社会の苦を描いた部分と、どこかに希望を持たせる内容がバランス良く両立しているストーリーでした。チャップリンについても改めて興味が湧き、彼の作品もいろいろと観たくなります。ぜひチャップリンの代表作と合わせて観てみてください。
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デートで観てもオーケーです。チャップリンについて、若い方も名前だけなら聞いたことがあると思いますが、ほとんど知識がないというカップルは、彼の代表作『街の灯』『黄金狂時代』『ライムライト』あたりのどれでも良いから1作くらいは観てから、本作を楽しむとより楽しめると思います。“チャップリン遺体誘拐事件”と聞くと過激な事件に思えますが、凶悪犯ではなく生活苦の末に2人の移民が犯した犯行で、ほのぼのとしたシーンもあるので、誰でも観やすいですよ。 |
キッズが観るには少々淡々としている内容ですが、難しい映画ではないので、中学生以上なら問題なく楽しめると思います。映画史を理解する上で必ず無声映画については話題があがるので、映画に興味が湧いてきたというティーンは、これを機にチャップリンの映画をいくつか観てみることをオススメします。それと同時にチャップリンがなぜ絶大な人気を誇るのか、その理由についても考えてみましょう。彼が生きた時代背景なども知ると、より理解が深まります。 |