2011年12月7日リリース
レンタル同時(左記ジャケットはセル用です)
衝撃だらけな映画でした。まず驚いたのは、どうやってロンドンまでたどり着いたのかというところ。それはストーリーのなかで徐々に明かされていくのですが、幼いながらに結婚させられそうになり親元から逃げたあと、途中危険な目に何度も遭っていますが、あの幼さで生命力で乗り切った点が奇跡だと思いました。あまりに壮絶で真似できるものではないですが、彼女の後の出来事を思うと、何かに導かれて、選ばれし人物だったように感じてなりません。そしてそれは単にラッキーだったわけではなく、親元を離れてからも、自分で生きていくために閉鎖された世界でメイドとして働いて苦労をし、今度は外の世界に出たとは言え、突然いきなり何もわからない世界に放たれたとしか言えない状況…。でも、持ち前の明るさと芯の強さもあって、拠り所を見つけていきますが、それでも“生きていくために”彼女がとる選択に、いちいち心が痛みました。「砂漠で育った少女がトップモデルになった」という一言だけ聞くと、ハッピーな物語に聞こえますが、決してそんな軽いものではありません。トップモデルという華やかな職業に就いたからと言って、それは彼女にとってもともと生きる術でしかなかったというのを考えると、あらゆる選択肢を持っている自分の世界は本当に有り難いんだなと思いました。 あと、やっぱり衝撃だったのは、FGM(女性性器切除)という実態がまだ世界中にあるということ。それが悪いこととしてやっているのではない宗教観のなかでは、なかなか排除するのは難しい問題なのでしょうが、かなりショックです。ワリスは自身がFGM(女性性器切除)の被害者である事実を告白し、世界に向けてFGMを廃止していく活動をしていますが、彼女にとってはこのことを成し遂げることが一番大事なんだろうなと思いました。劇中でそのことがよくわかるシーンがありますが、劇中のマスコミと同様にきっと多くの人が、彼女が苦境を乗り越えてトップモデルになったという華やかな面にばかり目がいくと思いますが、彼女はそれよりもFGMを廃止し、彼女と同じような境遇で生まれた女性たちが女性として生まれて良かったと思える世の中になることを望んでいます。この映画でそんな事実を知って、改めて女性として生まれてきた意味を自分も考えさせられました。今の自分にできることは、女性として誇りを持って一生懸命生きなければいけないと思いました。 |
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2011.11.28 TEXT by Myson