2012年1月13日より全国公開/R-18
ギャガ
公式サイト 予告編
すごいものを観てしまったと思いました。これが実話だなんて、信じられません。資料の脚本家のマイケル・トーマスの話によると、映画に適していない部分がもっとたくさんあり、渋々削ったとのことなので、もっと想像を絶する状況だったんでしょうね。映画公開を前に、ラティフ・ヤヒア氏が来日し、その会見に行きましたが、本当にあんな悲劇を体験されたんだなとご本人を目の前に悲しくなりました。サダム・フセイン政権当時、もちろん父サダムのことはニュースで知っていましたが、息子のウダイについては知らなかったので、こんなにひどいことをしていたなんてとビックリしました。国民はどう思っていたのでしょうか。いくら独裁者の長男と言えども、ここまでひどい行いがまかりとおっていたなんて、相当な権力だったんでしょうね。 物語の冒頭あたりまではドミニク・クーパーの一人二役ぶりの凄さに驚くばかりでしたが、途中からはそんなことも忘れるほど、ウダイに嫌悪感を抱きながら観賞しました。それほどリアルでしたし、物語が衝撃的過ぎて、影武者だったラティフさんが生存していることが奇跡に思えます。 会見では、「今でも安心して眠れない。1日2,3時間寝られたらマシな方」と語っていたラティフさん。この映画を初見したとき、拷問のことなど当時を思い出して取り乱したそうです。そりゃそうですよね。そんな思いをしながら、さらに度重なるあらゆる政治的圧力に屈せずに本を書き出版し、映画化にも協力したというお話を聞いて、原作が書かれ映画化までに至ったのには宿命みたいなものがあるんだろうと感じました。センセーショナルな内容なので、エンタメ映画として観る方もいると思いますが、それだけでは終わって欲しくない映画です。 あと俳優について、ウダイの愛人でラティフの恋の相手サラブ役がリュディヴィーヌ・サニエと気付かず、あとで資料で気付きました。サラブの心情は女性から見てもとても複雑に思いました。かなり難しい役だと思いますが、見事に演じてました。そしてやっぱりドミニク・クーパーが凄かったし、ラティフ役はかっこよかったです。ウダイという共感に値しない理解に苦しむキャラクターと、その影武者という一人二役を演じきったドミニク。今後の彼の活躍が楽しみです。 |
衝撃的な内容で、むごいシーンがかなりあるので、鑑賞後もひきづります。内容も知らずにいきなりデートで観るには向いてない映画です。この映画を観るのがメインのデートで、二人とも観たいと思うなら、ぜひ観て欲しい映画です。そこに描かれている、他の国で起こっていた悲劇的な現実を観て、ちゃんと語り合える相手だとより理想です。センセーショナルな部分だけをおもしろがったり、薄っぺらい観賞で終わるタイプの人と、真面目に観るタイプの人が一緒に行くと、鑑賞後の会話はかなり居心地が悪くなりそうなので、相手は選んだ方が良いと思います。 |
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2011.12.29 TEXT by Myson