2014年11月14日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト
ツイート
1993年、アメリカのアーカンソー州、ウエスト・メンフィスで実際に起きた猟奇事件をもとに映画化された本作。3人の少年が無残な姿で発見され、街に住む16〜18歳の少年たちが悪魔崇拝の生贄に幼い少年たちを殺したとされ、容疑者として捕まります。敬虔なクリスチャンが多い保守的な小さな街で悪魔崇拝を隠さず自由奔放に振る舞う不良グループを、観ているこちらも最初は怪しいと思うのですが、事件の捜査についてだんだんと不審な点が出てきます。次々と疑わしい人物、何かを隠していそうな人物が出てくるのですが、もしその読みが当たっているとしたら、ただの猟奇事件よりももっと恐ろしい事態です。閉鎖的な小さな街特有の団結力というか集団心理というか、それが善なのか悪なのか、自分たちにとっての善でしかないような、悪魔崇拝=悪という単純な結び付けも恐ろしいですよね。悪魔崇拝と言っても程度もいろいろあるでしょうし、ロック音楽や、ファッション的なものなど、悪的な要素に憧れているだけの若者達も一括りにしてしまう概念、自分たちが理解できないから悪、そんな悪は排除してしまえという考え方がこの町には蔓延しているように見えて、そこに一番不気味さを感じました。こういう心理って、私たちの日常にもあっておかしくないことだと考えると、余計にゾッとします。 そして、このリアルな人間描写を実現しているのは、アトム・エゴヤン監督、そして、コリン・ファース、リース・ウィザースプーンほか俳優陣。最近活躍が目覚ましいデイン・デハーン、ミレイユ・イーノスも出演しています。猟奇的殺人という恐ろしさに留まらず、人間が持つ悪のいろいろな側面、そしてその怖さについて問題提起する作品だと言えます。 |
猟奇殺人の被害者のシーンなどは苦手な人もいると思うので、誘うならそういう許容範囲がわかっている相手を誘いましょう。観終わった後に結局自分はどう思ったかをお互いに話すネタにはなりそうですが、単純に推理を楽しむサスペンスというのではなく、実話を基にしているため気楽な感想で盛り上がれるような軽さではありません。映画好きにとっては若手からベテランまで名優がずらっと出演しているので、そういう視点で話すには盛り上がれる映画です。 |
幼い少年が殺されてしまう猟奇事件を扱っているので、キッズにはオススメできません。ティーンは、容疑者にされる少年たちと同世代なので、そういう視点では他人事ではない怖さを体感することになるでしょう。推理を楽しむという類のサスペンスではない分、気楽に観られるエンターテイメントとは言い切れませんが、土地に根付いた思想や文化、そこでうまく生きるための人間関係など、社会的側面を描いている部分は、これから大人になっていくティーンの皆さんは参考にすると良いと思います。 |
関連記事:
■TJE Selection イイ男セレクション/コリン・ファース
■TJE Selection イイ男セレクション/デイン・デハーン
©2013 DEVILS KNOT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2014.11.5 TEXT by Myson