2014年2月22日より全国順次公開
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1923年ウクライナのキエフ生まれ、撮影当時84歳だったドイツの名翻訳家スヴェトラーナ・ガイヤー(2010年、87歳で逝去)の半生に迫るドキュメンタリー。スターリン政権下で少女時代を過ごし、ナチス・ドイツの占領下に入ると、ドイツ語ができるということで通訳として生きながらえたスヴェトラーナ。文学をこよなく愛し、生きるためにも文学を必要としてきたとも言える人生を送ってきた彼女が語る言葉には、とても説得力があります。そして、言葉が持つ力を理解していて、それゆえに言葉に対する執着というか、翻訳をする上でのこだわりがすごいのです。翻訳はただ言語を訳すことではないのだということがよくわかります。ドストエフスキーの作品はいくつか読んだことはありますが、スヴェトラーナが読み解いた哲学を本作で知って、またじっくりと読んでみたくなりました。ドストエフスキーの作品についてのスヴェトラーナの解釈は、そのまま彼女が生きてきた支えになっていたんだと思います。 |
特にデート向きな映画ではないですが、文学好きのカップルはとても楽しめると思います。ドストエフスキーに詳しくなくても、文学そのものが好きな人、哲学が好きな人は、スヴェトラーナの一つ一つの言葉にとても共感すると思います。「人間とは、人生とは」という話題がメインなので、直接的に恋愛に参考になるという内容は出てきませんが、恋愛はお互いを知ることというのを考えると、「人間とは何か」という理論は参考になるはずです。でも、薀蓄ばかりになりそうな相手の場合は、一緒に行くべきか、1人で観るか、同じ立ち位置で議論できる相手と行く方が楽しめるかも知れません。 |
観ても問題は全くありませんが、キッズにはまだ難しいでしょう。ドストエフスキーの本を読めるくらいになってから観ると楽しめます。ティーンはだんだん読書の幅も広がってくる時期なので、ドストエフスキーに挑戦してみたいという人は、なんでも良いから一冊読んでから、本作を観てみると良いと思います。ドストエフスキーの本を読んで「何のこっちゃ?」と思っても大丈夫。逆にそう思っている状態で本作を観て、スヴェトラーナの解釈を聞くと、もう一度ドストエフスキーの本を読んでみたくなるでしょう。そこで再度同じ本を読んでみてください。文学の楽しみ方が少しわかってくるかも知れません。 |
2014.2.12 TEXT by Myson