2012年9月15日より全国公開
角川映画、松竹
公式サイト
とても良い映画でした。本作の主人公で実在した天文学者、安井算哲については知りませんでしたが、すごい人なんですね。まず、算哲が好きな天文学と数学が組み合わさって改暦の仕事に活かされると判断され、改暦事業のリーダーに抜擢されるという展開がドラマチックでおもしろいと思いました。自分が好きなことが仕事になり、大役をもらい、それを命がけでやるなんてすごくステキだし、共感しました。でも、「命がけ」というのは文字どおり「命がけ」で衝撃もありました。学問はだいたいが研究室に閉じこもってやるものというイメージがあるので命の危険とは遠いものに思えますが、「思想」「政治」に影響するという点で、新しい理論を打ち出すことは時代や国によってはとても危険なことなんですよね。この時代に暦がそれほど重い意味を持つものだったというのもこの映画で知ったので、とても興味を持ちました。さらに感動したのは、算哲だけがすごいのではなく、彼を支える人々も素晴らしかったということです。彼を改暦のリーダーに任命した将軍の後見人、保科正之、副将軍、水戸光圀、算哲の恩師である山崎闇斎、算術の天才で算哲の憧れの存在だった関孝和、彼らが同じ時代に同じ場所にいたことも作用して、歴史は塗り替えられたんだなとしみじみと思いました。そして、何よりも素晴らしいのは算哲の妻えん。夫を優しく見守りながら、ときに厳しく、彼の意志が折れないように支える強さにほれぼれしました。人の夢を支えるというのは、自分の夢を追いかけ続けるというのと同じように難しいことのように思います。本当に、いろいろな奇跡が重なって、偉業がなされたんだなというのに感動させられた作品でした。 |
物語そのものもとてもおもしろく、老若男女問わず楽しめる作品なので、どんなカップルにもお薦めです。時代劇とはいえ、全然堅いことはなく、構えずに観られます。また、主人公の算哲と妻とのラブストーリーとして観ても、ハラハラドキドキもあれば、後半は支え合う夫婦として見習うべきところが多々あり、カップルで観るのにお薦めな作品です。 |
<リクエスト1>みどりさん:交際期間1年未満 前述にもありますが、算哲と妻えんとの関係は、とても素晴らしいものです。お互いの個性を認めつつ、良い距離感を保ちながら、心を通わせていく二人の姿はとても品があり、見習うべきところがあります。夫婦になってからの関係性はもっと強固で、心で繋がっているからこそこうなれるというのを実感します。真剣なおつきあいをしているカップルにはお薦めの映画ですよ。良い映画を観た経験を共有するのは良いことです! |
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2012.9.12 TEXT by Myson