2012年2月17日より全国公開
20世紀フォックス映画
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主演がジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・セイフライドと華やかなので、エンタメ色が強いかと思いきや、テーマが哲学的で、真剣に観賞しました。こういうタイプの映画、好きです。 「時は金なり」をそのまま、現実の世界に落とし込んだ設定がまずおもしろいと思いました。相田みつをの言葉には「時は命だよ」というのがありますが、もっと近いですね。実際に所持金がそのまま自分の余命に時間換算された世界に自分が行ったら…と想像すると怖いですね。 25歳から身体的に年を取らないのはちょっと羨ましいなと思いましたが、実際にそうだったら嬉しくないでしょうね。年相応に老けていき、みんなが同じ速度で人生が進行していくことが有り難いことだと思いました。年を取るからこそ、年相応の楽しみや大切な経験もあるだろうし、人生の深みもあるだろうし、終わりがあるから今を大事に感じるんだろうし。もともと自分はそういう考え方なので、劇中の永遠の命を欲しがる人たちの欲はあまり理解できませんでしたが、本作で描いているのは必ずしも不老不死についてだけではなくて、ありあまる富を一部の人が牛耳っていることの無意味さを描いているんだろうなと思いました。それに、もし本当にお金が時間に換算されたら、もっとみんな分けあう必要性を感じるんじゃないかということも想像させてくれました。今の世界(日本を含め、先進国では特に)はお金がなくても死ぬわけではないと考えるので、深刻な状況を目の当たりにしても目を背ける人も多いかも知れないけれど、余命に置き換えられると、誰かが死ぬのを目の前にして自分が分け与えなければ、助けられなかった責任を自覚することになるでしょう。そんな世界は精神的に苦痛でしかないし、自分に余命が充分にあるとしても幸せな世界ではありません。幸せになるにはどうすれば良いかを個人単位でなく、世界単位で真剣に考えなければいけない時代を象徴する映画だと思います。 |
美男美女の逃避行でロマンチックなシーンもある点ではデート向きな映画ですが、テーマは真面目なので、人に寄ってはロマンチックに観ないで、経済的な視点で観たり、観る前に想像していたテンションと異なる人もいるでしょう。なので、カップルでそれぞれに重点を置くポイントが違った場合に、鑑賞後にその感じ方の違いを会話して楽しめる2人なら良いですが、観る前から完全にズレそうだと思う場合には、考えてから誘いましょう。まあ、深いテーマだと思わずに、気楽に観るのもありと言えばありなんですが、それではもったいない内容です。 |
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2011.12.29 TEXT by Myson