本作は、目が見えず耳も聞こえないヨンチャンと、脊髄障害を持つ小柄なスンホの夫婦の日常を映したドキュメンタリー。2人で1人と言ってもいいくらい仲の良いヨンチャンとスンホの様子は、観ていて本当に心が和みます。2人の日常のなかの明るい部分と暗い部分の両方が映し出されているのですが、辛い時にこそ2人の明るく心優しい内面がひしひしと伝わってきて、映画自体に流れる空気はとても温かいです。特にヨンチャンが辛い時にスンホがかける言葉には女子として見習うべきものを多く感じました。男子のプライドを傷つけない慰め方をする様子がとても参考になります。一方でヨンチャンは自分の苦悩を文にしたためますが、その言葉にはとても重みを感じました。この2人には私たちが見えない大事なことがたくさん見えているのだと思います。
でも、そんな一見明るい2人は平穏に暮らしているようでいて、当然ながら苦悩な現実にも直面します。「死ぬときは一緒だ」と語る姿には、彼らの強さに反比例して、彼らがいかに不安のなかで過ごしているかがわかります。2人の日常を観て、「何を見て、何を聞くか、誰といるか、どう生きるか」、それは見えるものを見て、聞こえることを聞いてという受動的なものではなく、どんな境遇にあっても自分で決めるべきものだということを実感しました。とっても微笑ましくてかわいいこの夫婦が大切なことに気づかせてくれる映画です。 |
ある夫婦の日常をそのまま映し出した作品なので、すごくドラマチックなことが起きるわけではありませんが、彼らの日常のなかに大切なことがたくさん垣間見えて、自分自身を客観視できる内容です。夫婦が支え合う姿もカップルにとってはとても参考になるし、お手本としてはこれ以上にないくらい素敵な夫婦なので、デートで観るのも良いでしょう。ぜひ、この人とずっと一緒にいたいと思うくらい本気の相手と観てください。 |
キッズやティーンにも観て欲しいとは思いますが、物語調の映画ではなく淡々と日常を映し出しているという内容なので、キッズにとってはどう受け取って良いのか難しい部分もあるかも知れません。でも、子どもなりに感じて考えさせられる部分もあるので、大人の人と一緒に観て、鑑賞後に感じたことをディスカッションすると理解が深まるでしょう。ティーンには充分理解できる内容です。ヨンチャンとスンホの夫婦が明るく強く生きる姿を観て、人と支え合って生きることの素晴らしさを感じたり、辛いことがあったときそれをどう解釈するかなど生きるヒントをもらいましょう。 |