2015年8月22日より全国公開
ハーク
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2014年、第67回カンヌ国際映画祭で見事グランプリに輝いた本作。舞台はイタリア中部、トスカーナ州周辺の大自然に囲まれた土地で、ある家族の日々を描いています。一見静かな映画ですが、「あれ?何やってんだろ?」と思ってしまう不思議な光景が何度か出てきて、映像的にも引き込まれるものがありました。短気ですぐ怒鳴るお父さんと、そんなお父さんが4姉妹のなかでも特に溺愛する長女の関係が主に描かれているのですが、思春期になった娘の成長ぶりを受け入れられないでいるお父さんの姿が少しかわいくも見え、一方で「もう子どもじゃない!」という娘も露骨にそれを出すことはなく、お父さんに気を遣っている優しさにも心が温まりました。長女と妹たちの対比や、ある日一家のもとにやってくる1人の少年が及ぼす影響などを通し、長女や父をメインに、それぞれのキャラクターの心情の変化を見事に描写していて、田舎暮らしの一片を切り取っただけのストーリーでよくぞこれほど描けるものだと感心しました。 そして、こういう作品のなかに、すごい存在感で登場するモニカ・ベルッチがまた良いスパイスになっていて、エンタメ要素の盛り込み方がさりげないところも好きです。この一家が作る無添加、自然の美味しい蜂蜜と同じように、無添加な一家の自然な生き様をぜひご覧ください。 |
エンタメ要素はありつつも展開の中で派手なことが起きるわけではなく、情緒的な作品なので、普段アクション映画のような激しい展開の作品に慣れている人には向いていないでしょう。好みが分かれる作品ではあると思うので、自分が楽しむためにも、一緒に行く相手は、この映画が持つ要素(イタリア映画、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、モニカ・ベルッチ出演等)の何かしらに興味がありそうな人にする方が良いと思います。カップルで観て気まずいシーンは無いし、テーマも誰でもわかる内容なので、その点はご心配無用です。 |
キッズにはまだピンとこない内容だと思います。主人公のジェルソミーナと同じくらいのティーンなら、共感しながら観られる部分があると思います。ただ、具体的にこの映画のメッセージはコレですというわかりやすさはないので、自分の想像力と理解力を働かせて観てください。お父さんと娘のストーリーなので、お父さんと一緒に観に行くのも良いかも知れませんよ。 |
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2015.8.24 TEXT by Myson