2016年6月25日より全国公開/R-15+
スターサンズ
公式サイト
女子大学院生が、興味や執着からではなく、研究対象として1人の人物を無作為に選び、尾行して論文を書くという設定がとてもユニークで、そうは言ってもやっぱり対象への執着が生まれてきて、どんどん自分の人生も狂い始めてくる展開が、狂気的でかなり見入りました。始めはそれほど興味がない相手でも、想像していなかった一面を見てしまったら、もっと興味が湧いてしまうのは当然のこと。まして、観察対象がドラマチックな生活を送っていたらなおさらですよね。観客も、門脇麦が演じる主人公の目線で、長谷川博己が演じる尾行対象を追う心境を体感することになりますが、彼が不倫をしている男性だとわかったら、女性ならなおさら興味が湧くのは当たり前。主人公を観て、その行為に共感はできないまでも、深みにはまってしまう心境はわからなくもありません。もう一つ、興味深かったのは、“哲学的尾行”についての論文の内容が思わぬ展開を呼んでしまう点。ネタバレになるので具体的には書きませんが、主人公は哲学科の生徒で人間を知るための研究を論文にするわけですが、彼女が最終的に出した考察はある人には知らなくて良かった真実だったというのがとても皮肉です。とても気がかりな冒頭のシーンは、観ているうちに一旦忘れてしまうのですが、クライマックスで伏線が繋がる展開にもハッとさせられます。私は哲学的なテーマが好きなので、“哲学的尾行”の部分に焦点を当てて鑑賞しましたが、どこにフォーカスして観るかによっていろいろな観方がある多面的な作品なので、女性でも男性でも楽しめると思います。 |
門脇麦と菅田将暉が演じるカップルのベッドシーンが冒頭からあり、また『二重生活』とついている通り、長谷川博己が演じる男性は、母子がいながら不倫をしていて、エロいシーンもやや長めに出てくるので、デートで観るには気まずいかも知れません。また、全体的に重いテーマを扱っているので、デートのムードを盛り上げるタイプのストーリーではなく、1人でじっくり観るか、映画をよく観る友達と一緒に観るのがオススメです。 |
R-15なので、15歳未満だと観られません。門脇麦が演じている主人公が女性大学院生なので、ティーンの皆さんは年齢が近い分、等身大でストーリーを体感できると思いますが、もし皆さんが大学生や大学院生になっても、主人公が実践したような研究はオススメできません。人間としてのモラルに則り、自分の生活も壊さないよう、今後研究したり論文を書く機会があっても、自身で内容は吟味してください。 |
関連記事:
■TJE Selection イイ男セレクション/長谷川博己
■TJE Selection イイ男セレクション/菅田将暉
2016.6.13 TEXT by Myson