2014年3月1日より全国順次公開
仙台放送
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本作は、アメリカのオハイオ州にある、平均年齢80歳以上の人々が暮らす介護施設で認知症のおばあちゃんたちがトレーニングに挑戦する姿を綴ったドキュメンタリー。ジョンという青年が毎日おばあちゃんたちに「僕の名前を知っていますか?」と問いかけますが、おばあちゃんたちが彼の名前を答えてくれる日がくるのかどうかという内容です。何名かのおばあちゃんに焦点をあて、彼女たちの若かりし日々や子ども、孫など家族も紹介しつつ、現在の彼女たちの状況が映し出されるのですが、ほとんどの女性が若いときにはバリバリ働いていて引退後も割と快活な方が多いということに少しショックを受けました。認知症になりやすい傾向ってあるのかわかりませんが、認知症になるまでは充実した人生を送っていた方が多く、そういう方は脳も活発に動いてそうな気がするのですが、そういうことでもないんですね。そして家族たちも彼女たちが認知症になったことで「彼女でなくなる」のがとても辛い様子で、「自分の親や家族が認知症になったら?」「自分も将来認知症になったら?」ととてもリアルに考えさせられました。 でも、この映画が良いのは後半でおばあちゃんたちの頑張りが成果として見えてくること。おばあちゃんたちが取り組んでいたトレーニングは、「脳トレ」ブームを作った東北大学の川島隆太教授と公文教育研究会と介護現場の協力によって生まれた認知症改善プログラム「学習療法」。記憶が持続するようになったおばあちゃんたちの生活がちょっとずつ明るくなっていき、家族たちにも笑顔が見えてきます。人間ってすごいですね!認知症って怖いなとしか思っていなかったのですが、なんだか希望がもらえました。認知症のご家族がいて悩んでいる方がいたら特にこの映画を観て欲しいし、おばあちゃんたちがかわいいので癒されますよ。 |
デートムービーというわけではないですが、家族愛や人間愛が感じられる温かいドキュメンタリーなのでデートで観るのも良いでしょう。将来を真剣に考えている2人なら、将来認知症になったら…とお互いに想像してみるのも良いかも知れません。認知症と聞くと将来に不安を感じるかも知れませんが、本作は認知症に立ち向かうおばあちゃんたちのお話なので希望が持てます。そして、家族や周囲の人の支えが必要だということもわかるので、誰かと一緒に人生を送ることが幸せなことだと実感できて、相手との将来をもっとリアルに想像できると思いますよ。 |
子どもたちにもぜひ観て欲しい作品です。自分のおばあちゃんやおじいちゃんがだんだん耳が遠くなったり足腰が悪くなったり、家族の名前を忘れたり…という姿を日頃から見ている子どもたちもいるかも知れませんが、本作を観て、年を取るといろいろな苦労が出てくると理解して今までよりももっとお年寄りを気遣うことができるようになってくれれば嬉しいです。そしてもし家族に認知症の方がいて、お父さんやお母さんが介護に苦労していたら、この映画を教えてあげるとちょっと希望が持てて気持ちを楽にしてあげられるでしょうし、介護をしている側の人にも気遣いをしてあげられるようになるとなお良いと思います。 |
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2014.3.27 TEXT by Myson