2016年4月9日より全国公開
KADOKAWA
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本作の争点はどこにあるのか、個人のなかの善悪の価値観を問うものなのかなと思いきや、社会全体に対しての“必要悪”を描いていて、思っていた以上に複雑な心境にさせられました。賛成はしないのですが、世の中の秩序を保つために、「どれがマシか」という判断はやむを得ず出てくるのも否めません。本作は、正義感の強いエリートFBI捜査官のケイトが、新しいチームの同僚たちの不可解な行動に巻き込まれていくストーリーですが、公にできない汚れ仕事を各々の立場でやらされているエリートたちが、善悪の選択の余地ナシに、“お互いの組織のバランスを保って”一時的な問題解決に向けて奔走する姿が描かれています。綺麗事で済まされないことが世の中にはあるとわかってはいても、実際にこういう仕事に就いた場合、人間の良心はどこまで耐えられるのでしょうか。正義感が強い人が、捜査官などの職に就いて欲しいなと思いつつ、こういう仕事も一方であるとなると、正義感が強い人ほど壊れてしまいそうですね。悪党は悪党で1人潰しても、また次の1人が出てきて、いたちごっこなんだろうと思いますが、解決策が見つからずに堂々巡りになり、結局“必要悪”を認めざるを得ないと思ってしまう自分にもやるせなさを感じます。 |
主人公はエミリー・ブラントが演じる女性捜査官ですが、女性として共感するというタイプのストーリーではなく、男女問わず善悪の価値観を問う内容なので、男女問わず見応えがあるとは思います。ただ、グロテスクな死体が何度か出てくるし、専らの社会派サスペンスなので、ロマンチックになりたい日のデートには向きません。1人でじっくり観るか、鑑賞後に語り合える映画好きの友達、社会問題に興味がある友達と行くと良いでしょう。 |
キッズには難しい内容だし、ところどころ残酷なシーンも出てくるので、オススメしません。ティーンは、社会のクラスで他国の社会情勢に興味を持ち始めたら、たまにはこういう映画で世の中を知るのは有意義だと思います。主人公たちにもっと良い解決策があったのかどうか、友達や家族で考えるきっかけにするのも良いですよ。実際に解決できるかどうかは別として、こういった状況で自分ならどう行動するのか、人はどうするのかを知ることで、人間を理解することにも少し繋がると思います。 |
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2016.4.4 TEXT by Myson