2012年5月18日より全国公開
20世紀フォックス
予告編
アレクサンダー・ペイン監督の作品って、やっぱり良いです。苦い部分を描きつつ、人間がだんだんと軌道修正していく様子を描くのが本当にうまいなと思います。ジョージ・クルーニーが演じるマットは、毎日仕事に明け暮れていたら、ある日妻が事故で昏睡状態になり、娘から実は妻が浮気をしていたということを聞かされるというかなり惨めな男。本来ならこのマットに同情したいところですが、始めはちょっと笑ってしまうくらい惨めです。娘から妻の浮気を聞かされるので、娘に対して一番みっともない姿を見せてしまうわけですが、そんなお父さんがだんだんと成長していく姿に共感します。娘と一緒に妻の浮気相手を探すという展開は少々異様ではありますが、だんだんと親子の絆を取り戻していく過程がうまく描かれていて、長女の彼氏もとんでもないヤツだと思ったら、人間味のある子だったりと、人生捨てたもんじゃないなと思わせてくれる物語です。妻への激情が芽生えつつもぶつけどころのないマットの姿が滑稽ですが、彼の成長と家族の再生を応援したくなるのは、マットが愛すべきキャラクターだからだと思います。そんなみっともない父を見事に演じているジョージ・クルーニー。彼の本作での演技は賞賛に値するし、娘2人も結構良い味を出していて、今後の活躍が楽しみです。 幸せになりたいと思っているし、そのために努力しているつもりなのに、歯車が狂ってしまう人たちの姿は、私たち誰にでも通じるところ。そこからどうすれば良いのかヒントをくれるような本作は、男性でも女性でも共感できるストーリーです。 |
ノリノリに盛り上がりたいデートで観るのにはちょっと向いていませんが、穏やかな気分で過ごしたいデートで観るのにオススメの映画です。ちょっとビターなハートフル・ドラマでなので、誰が観ても楽しめると思います。でも、特に観て欲しいのは夫婦。忙しさを言い訳にお互いのことに無関心になりつつあったり、愛しているのになんだかコミュニケーションはうまくいかず心がすれ違っているような状態なら、この映画を観ると良いと思います。あとから「良き妻でありたかった」「良き夫でありたかった」と言っても仕方がありません。まだ修復できるなら、その気になるきっかけとしてこの作品を観てみましょう! |
© 2011 Twentieth Century Fox
2012.2.25 TEXT by Myson