フリーダ・カーロについては、サルマ・ハエック主演の映画『フリーダ』を観たことがあるくらいで詳しくは知らず、同作を観てからもしばらく経っているのでお恥ずかしながら彼女についての知識も薄くなっていましたが、本作を観て少し興味が増しました。そう言えば、夫が著名な壁画家(ディエゴ・リベラ)だったなあとか、身体が不自由だったなあとか、本作を観ていくうちに彼女についての情報も少しずつ蘇りましたが、生前はあくまで著名な夫の妻として見られていて、死後に彼女の作品の評価が上がったと知り、女性としての社会での認識なども知ることができ興味深かったです。また、街頭インタビューで登場するメキシコの子どもたちは、ほとんど誰でも彼女についての知識をある程度持っていて、文化をちゃんと引き継いでいる様子がとても共感できました。
本作は女性写真家の石内都が彼女の遺品を撮影し記録していく様子を追ったものとなっていて、ただフリーダの人生を綴ったドキュメンタリーというのではない点でも、新鮮味がありました。メキシコの首都メキシコ・シティにあるフリーダ・カーロ博物館に貯蔵している遺品を撮影していくのですが、ここは彼女が実際に生活していた家ということもあり、彼女が使っていたものは死後そのままの状態で保管していたり、彼女の匂いや肌の温もりまで残っていそうな雰囲気を醸し出しています。そして、石内氏がフリーダを知っていく過程で持つ疑問がそのまま観客の「?」を代弁しているようなところもあり、日本人の目線でとても観やすく構成されています。
ほかに女性としての見どころは、やはりフリーダのファッションです。メキシコ文化を強く感じさせる服装も多く、その背景にある歴史や文化も知ることができ、より興味を喚起されます。ただ美しいというのではなく、彼女のルーツに繋がる思いが込められているファッションだったり、身体が不自由だった点をカバーする靴だったり、彼女の生き様そのものがファッションに現れているようで、オシャレという感覚以外の視点でもおもしろいです。難しいドキュメンタリーでもないので、博物館、写真展をふらっと訪れるような感覚で楽しめますよ。
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比較的観やすいドキュメンタリーではありますが、やはりドキュメンタリー自体が観慣れている、観慣れていない、好き嫌いで、評価が分かれそうなので、多少なりともフリーダ・カーロに興味があるか、芸術が好きという人を誘う方が良いと思います。特にすごく詳しくなくても本作のなかで徐々にフリーダを知っていくことができるので、知識の有無は気にせずで良いでしょう。 |
観て問題はありませんが、キッズがこういうドキュメンタリーを観るには耐えられるかなあという感じはします。ドキュメンタリーは、大人でも全く興味がなければ集中力が続かないと思うので、中学生以上で芸術に興味がある人が観ると良いでしょう。基本、芸術やファッションなどに興味があるならば、本作を観てからフリーダについていろいろ調べてみても良いし、先に知識を入れてから観るのでも良いと思います。あと歴史や異国文化への興味がある人も楽しめそうです。 |