2013年5月4日より全国公開
ファインフィルムズ
公式サイト 予告編
リドリー・スコットが製作総指揮を務めた本作。原題は[Welcom to the Punch]で、邦題が『ビトレイヤー』=裏切り者というわけなんですが、この邦題がすごく良いと思います。観て頂けるとわかりますが、誰が裏切り者なのかは、いろんな考え方が出てくると思いますが、そういう意味で本作は観終わった後に語り甲斐がある映画のように思います。善悪がはっきりしているキャラクターもいますが、ジェームズ・マカヴォイが演じるキャラクターはいろいろな側面を持っていて、彼の判断をどう捉えるかが、この映画をどう解釈するかの鍵となります。あまり日本で著名な俳優は出ていませんが、注目して欲しいのは大物犯罪者ジェイコブを演じているマーク・ストロング。『キック・アス』『裏切りのサーカス』など、どの作品でも独特の印象を残す演技をする彼ですが、演じる役によって印象がガラリと変わります。彼の出演で本作の質が上がっていることは間違いありません。誰が黒幕なのかを探るというわかりやすい設定ではありますが、結末に至るまでのドラマは意外性があり楽しめます。男っぽいイメージがする作品ですが、映画好き女子にも楽しめる映画ですよ。 |
激しい銃撃シーンはありますが、目を覆うほどのきつい映像はないし、エロチックなシーンもありません。ほんの少しだけ男女関係を思わせるシーンはありますが、物語のほとんどは黒幕を探るというサスペンスなので、友達以上恋人未満、つきあいたてのカップルでもギクシャクすることなく観られる内容です。ただ、「楽しかったね!」という感想が出るような内容ではないので、テンション高めのデートのときよりは、今日はクールに決めたいねという日に観ましょう。どんな解釈もありえる結末なので、鑑賞後は「結局、誰が裏切り者だったと思う?」なんて会話をすると、どういう回答をするかによって相手の知的な面を見られるかも知れません。 |
キッズが観るにはクールでハードですが、中学生以上なら楽しめると思います。純粋にサスペンスとして楽しむだけでも良し、もう少し高度な理解ができる子なら、「裏切る」ということの背景にあるもの、「どうして人は裏切るのか」「その裏切りは罪なのか」など、親子で話しあってみるとおもしろいと思います。どう解釈するかは個人個人なので、正しい答えを見つけるというのではなく、物事にはいろいろな見方ができるということを感じてくれると良いなと思います。 |
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©The British Film Institute 2013
2013.3.28 TEXT by Myson