2011年、スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞で、ペドロ・アルモドバル監督作『私が、生きる肌』、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作『ビューティフル BIUTIFUL』を押しのけ、作品賞ほか最多9部門を獲得したという本作。冒頭からかなり不気味なシーンが多く、謎に謎が加わっていき、最後まで飽きることなく観ることができました。みんな幸せに生きたいだけなのに、歯車が狂っている人ばかりで、主人公の少年アンドレウだけが正気に思えてしまうのが怖い。『ブラック・ブレッド』という貧富の差を表現するタイトルがついているのはなぜなのか、前半ではわかりませんでしたが、後半で徐々にその意味が分かってくるとともに、「黒いパンは貧しい者が食べるパン、富める者は柔らかい白いパンを食べる」というパンに例えている意味もわかります。この物語の怖さは人間の心に潜む闇が、貧しさゆえにだったり、愛ゆえだったり、必ずしも悪意から生まれるわけではないということなのだと思います。いや〜見応えがありました。 |
物語は暗くて重いので、ウキウキしたデートがしたいときは向いていないです。子どもが出てくるほのぼのとした映画、もしくは子どもが頑張る感動的な映画かと思いきや、ラストは結構どんよりします。映画そのものはおもしろいというか、深みがある良い作品ですが、映画好きの二人のデート、もしくは今日は真面目な映画が観たいという日は良いと思います。あとは、親って、何でしょうね…と考えさせられる部分も多大にあるので、お子さんがいるご夫婦が一緒に観るのも良いと思います。ここまで極端なことは日本ではないと思いますが、参考になる部分もあると思います。 |