2017年9月30日より全国順次公開/PG-12
松竹メディア事業部
公式サイト
ゴリゴリの囚人達が暴れまくるだけのバイオレンス・アクション映画かなと思っていたら、すごくきちんと作られた社会派映画ではありませんか!資料に寄ると、リック・ローマン・ウォー監督はこれまで、帰還後にPTSDに苦しむ米陸軍特殊部隊兵士を追うドキュメンタリー“That Which I Love Destroys Me(原題)”を製作、監督したり、長編映画『オーバードライヴ』では受刑者、ドラマ『プリズン・サバイブ』では刑務所をテーマに、社会派作品を輩出してきた人物。刑務所とそこを牛耳るギャングの実態を知るために、カリフォルニアのボランティア仮釈放監察官として2年間も潜入取材を行ったことがあるほどリサーチも徹底しています。本作は、主人公のジェイコブが、交通事故をお越し刑務所に入れられ、生き残るために悪に手を染め、やがて通称マネーと呼ばれる男に変貌していく物語。最初は心優しい普通のサラリーマンだった彼が、やるかやられるかの刑務所内で、やむを得ず悪の道を辿っていく姿は、フィクションではありつつ、アメリカの実状を表しています。刑務所は更正するところではなく、犯罪者を養成する場所と化しているようですが、本当に恐ろしい事態です。撮影は、現在も使われている3つの拘置所と連邦刑務所で行われたようですが、極悪人の刑務所では、運動場にさえ檻があり、野外で運動する際は、その個別の檻のなかで行うという光景にもビックリでした。ここまで悪さをしないように徹底している設備でも所内の犯罪を100%食い止められない現実と、看守ではなく囚人が仕切っている刑務所社会がとてもリアル。主演のニコライ・コスター=ワルドー目当てで観たのですが、予想以上にずっしりとした見応えのある作品でした。真面目に作られた映画だと思うと、ちょっと不謹慎ですが、マッチョ祭な映画でもあるので、ゴリゴリが好きな方にもオススメです(笑)。 |
言わなくても承知だとは思いますが、デート向きではないですよね(笑)。男子は好きなジャンルだと思いますが、女子は好みが分かれるでしょう。ただ、主演のニコライ・コスター=ワルドーはカッコ良いので、女子も楽しめる要素が全くないわけではありません。あとこういう映画に痛々しさは付きものなので、その辺りの免役があるかないかは事前に知った上で誘うかどうかを決めてください。 |
極悪のおじさん達が悪から抜け出せなくてもがいている物語なので、子どもにオススメとは言いづらいのは当然なのですが、アメリカ社会の現実を描いている点では、勉強になる部分もあると思います。PG-12だし、小学生にわざわざ観てくださいとまでは言いませんが、海外に興味を持ち始めたら、観てみてはどうでしょうか?刑の重さに関わらず、一度犯罪を犯すと人生が狂ってしまう反面教師としても参考にしてください。 |
関連記事:
■マッチョの山に思いを馳せて VOL.4
■TJE Selection イイ男セレクション/ニコライ・コスター=ワルドー
■TJE Selection イイ男セレクション/ジョン・バーンサル
■TJE Selection イイ男セレクション/ジェフリー・ドノヴァン
■TJE Selection イイ男セレクション/エモリー・コーエン
■TJE Selection イイ男セレクション/ベンジャミン・ブラッド
© Shot Caller Films,LLC. All Rights Reserved.
2017.9.20 TEXT by Myson