2016年6月25日より全国順次公開/PG-12
アニモプロデュース
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1980年代、社会主義政権下の東ドイツで実際に起こったブレイクダンス・ブームを基に、ダンスに自由と希望を見出す若者たちの姿を描いた青春映画。スタント一切なしで役者たちが演じた躍動感たっぷりのダンスシーンと、“好きなことを追いかけずにはいられない!”というみずみずしい初期衝動がスクリーンから溢れてきて、鑑賞中は「ええのぉ、青春!」と脳内で連呼してしまいました(笑)。“ダンス×青春”と聞くと10〜20代向けの作品というイメージがあるかもしれませんが、ダボダボすぎないBボーイファッション、カセットテープ、でっかいラジカセといった80年代のサブカルチャーにノスタルジーを感じる世代も必見です。恋と友情の板挟み、親子のすれ違いといったザ・思春期の人間ドラマは少々ベタながらも普遍的で、どの世代にも響くポイントがあると思います。今ダンスに夢中な若者にも、『フラッシュダンス』(83)を観てレッグウォーマーを買いに走り、アイドル時代の風見しんごに感化されてブレイクダンスを始めた、かつてのヤング(笑)にもオススメの作品です。 |
観る人を選ばないさわやかな青春映画で、デートで鑑賞するのにもぴったりです。イケメン主人公と美少女ヒロインのちょっぴり大胆なラブシーンもあり、ほどよくドキドキ感も味わえます。内容は重くないものの、東西冷戦末期のドイツを描いた社会派作品の一面もあり、80年代のヒップホップカルチャーが醸成されていく様子を垣間見られる作品としても楽しめます。 |
ベッドシーンなど、刺激的なシーンも少しだけあり、12歳未満のお子さんが鑑賞する際は、保護者の助言と指導が必要なPG-12指定の作品です。とはいえ、ヒップホップダンスが中学の必修科目になった現在、キッズやティーンにとってダンスというテーマはとても身近で、観やすい作品だと思います。そして、ぜひ注目してほしいのは、インターネットや携帯電話もなかった80年代という時代背景。少ない情報を自らの足で探しては知識を得て、路上のダンスバトルで仲間たちと競い合って技術を磨いていく様子は、今の子どもたちの目にも新鮮に映るのではないでしょうか。劇中では、東ドイツでブレイクダンス・ブームの火付け役となったアメリカ映画『ビート・ストリート』(84)を主人公たちが何度も観に行くシーンが描かれていますが、当時は実際に何度も劇場に足を運んでスケッチブック片手に動きを模写した若者も大勢いたそうです(50回以上も足を運んだ人もいたそう!)。動画やビデオが当たり前に観られる今では想像もできない大変さですが、そんな時代だからこそ生まれた楽しみや、リアルな触れ合いの大切さも感じてほしいなと思います。 |
2016.6.14 TEXT by min