2016年5月14日より全国順次公開
パンドラ、kinologue
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北欧を代表するファッション・ブランド“マリメッコ”の創業者アルミ・ラティアの半生を描いた本作。経営者、デザイナーとしての顔、妻、女性としての顔、それぞれが描かれていましたが、監督のヨールン・ドンネルは、マリメッコの初期の役員を務めた方だそうで、実際にアルミを知る人物がメガホンを執ったという点でも興味深い一作です。アルミはキュートなファッションのイメージからは想像できない破天荒な女性でビックリしましたが、やっぱり天才と言われる人は、極端な面があるからこそ、皆を魅了する作品を生み出すものなんだなと納得できる部分もありました。表向きにはすごく強い女性として振る舞う一方で、弱さ、脆さも極端で、すごく人間臭い人物だった点も描かれていましたが、多くの人に囲まれつつもすごく孤独な人だったのではないかと、彼女の日々の闘いにいかに苦労が多かったかも伝わってきました。この映画は、少し構成が変わっていて、アルミを演じる女優がいて、アルミの物語は劇中劇として語られていきます。なぜこういう手法を取ったのかわかりませんが、もしかしたら監督の主観に寄りすぎないように、客観的視点で観られるようにした工夫なのかも知れませんね。そういった意味では、劇中劇が途切れるタイミング毎に、観ているこちらも一旦客観的視点を改めて自覚させられるので、これが彼女のすべてではないという見方ができたような気がします。実際にマリメッコが好きで着用している人が観ると、もっと感情移入できそうな気がしますが、逆に私は特にこのブランドに今まで特別な興味が無かった分、本作で興味が湧きました。男性優位の時代に女性起業家として奮闘したアルミ・ラティアの物語は、現代の働く女性にも闘志をくれます。 |
ユニークな構成の映画ですが、そのユニークさは正直ライト・ユーザーには少々わかりづらいような気がします。なので、普段あまり映画を観ないカップルが、マリメッコというブランドすら知らずに、雰囲気で本作を選んで観たとしたら、ちょっとキョトンとなるかも知れません。デートで観るとしたら、ファッションに興味があるカップルや、映画ヘビー・ユーザーのカップルにオススメです。 |
小学生にはまだ難しいと思うので、ファッションに興味がある中学生以上のティーンにオススメです。自分が好きなこと、得意なことにズンズンのめり込み、こだわりを捨てずにいろいろな挑戦をしていくアルミの姿は、良いお手本になる部分があります。破天荒な女性なので、真似できない部分、真似しなくて良い部分もありますが、誰もやってこなかったことをやる勇気や行動力はぜひ見習ってください。 |
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2016.5.09 TEXT by Myson