2012年1月14日より全国公開/PG-12
ギャガ
公式サイト 予告編
![]() 主人公の住田祐一は「普通の大人になること」を願う15歳の少年。簡単に叶いそうな彼の願いが叶うのはかなり難しいという皮肉な展開に、「生きる意味」を考えさせられました。「自ら招いた不幸ではない」というところで、被災地が舞台になっている点が、この主人公の人生の厳しさを際立たせていました。「お前のこと、本当にいらないんだよ」と父親に言われてきた住田が、震災で生き残ったあとに母にも捨てられ、何を生きる糧にして生きていくのか…。これほどまでに生きる意味を他者に否定されたら、どれだけ前向きな人間でも生きていけないし、彼の「普通の大人になる」というささやかな思いさえも叶えてくれない人生は絶望的でしかありません。主人公の境遇と同じまではいかないにしても、普通の幸せを手に入れるのも難しい時代になってきたのかなというのは感じました。観ている方もどん底な気分になりますが、それでも「なぜ今生きているのか」を主人公の姿を通して、自分についても考えるきっかけになりました。あり得ない設定というか極端過ぎる設定も多々出てきますが、現代社会が異常事態という意味合いで考えるとそれほど違和感は感じません。また、主人公の2人の演技にも鬼気迫るものがあり、海外の映画祭でも評価されているのはうなずけます。15歳の視点を体験することで、大人がもっと頑張らなきゃとも思いました。 |
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2011.12.29 TEXT by Myson