本作は、『ルーム』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したブリー・ラーソンの出世作として知られる『ショート・ターム』のデスティン・ダニエル・クレットン監督のデビュー作です。音楽の才能があってそれを応援してくれる人達がいるのに、心に負った傷を抱えたままうだつの上がらない毎日を過ごしている主人公が、徐々に変化を遂げていく様を描いています。『ショート・ターム』も然り、クレットン監督作に共通する部分なのだと思いますが、奇をてらうことなく、人間のあるがままの姿を淡々と映していて、それがすごくリアルなんです。健全な人が観たら、本作の主人公のような態度には共感できない人が多いと思いますが、誰のなかにでもある負の一部分を見せつけられている気がして、私は他人事には思えませんでした。ちょっとつけあがっていて、自分を悲劇の主人公のように思っていて、気遣ってくれる人々にも甘えが出てしまって、楽しそうにしている人達が脳天気に見えてしまう…。でも、こういう時期を乗り越えると、当時の自分が恥ずかしくて仕方がなくて、そんな感情を本作によって、思い起こされました。“大人の反抗期”に突入しながらも抜け出せない人は、ぜひ本作を観て、殻から出てきてください!
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主人公の心のなかではドラマが起こっていますが、見た目として派手な展開があるわけでもなく、淡々とストーリーが展開するので、抽象的な作品を観慣れていない人には向いていないように思います。主人公の心の動きに注目しながら、1人でじっくり観るのがオススメの作品ですが、もし交際相手が負のモードに陥っているようなら、観せてあげると良い刺激になるかも知れません。 |
キッズにはまだ解釈が難しいでしょう。中学生くらいになると、主人公のような感情を経験する人も出てきそうなので、共感できる部分がありそうです。誰も自分を理解してくれないと、自分をかわいそうに思ってしまっている人は、ぜひ観てみてください。あなたが思う以上に周囲はあなたのことを思っているし、辛いことを経験しているのもあなただけではありません。自分を理解してもらいたかったら、周囲を理解する努力もしてみましょう。 |