2017年9月23日より全国公開/PG-12
ファントム・フィルム
公式サイト
降霊術を使って稼ぐ美しい姉妹と映画プロデューサーが出会い、世の中がまだ観たことのないものを作ろうとし、狂気に陥っていくというストーリー。人は信じたいものを信じるとはよく言いますが、人が信じたいものを見せようとする側も狂気に陥っていく様子が描かれている点で、かなり興味深いです。人を信じさせるにはまず自分が信じなくてはいけない。それを身をもって示しているのが映画プロデューサーなのですが、本作では例えが降霊術なだけに異様に見えるだけで、“不可能を可能にする”“人々に夢を見させる”映画の世界では当たり前に行われていることだと思うと、縁遠い話には思えません。本作は、アメリカに実在した、スピリチュアリズムの先駆者として名高いフォックス三姉妹と、フランス初のトーキー長編映画を製作しながらも、それが仇となり経営ミスの疑いで咎められたベルナール・ナタンという実在の人物のストーリーを、レベッカ・ズロトヴスキ監督が組み合わせて創作した物語です。信じれば見えるけれど、信じない者にとっては詐欺にしか見えないものにまつわるこのストーリーは、結局価値観によって受け取り方が異なるだろうし、永遠に“人類共通の答え”は出ないテーマを扱っているので、観る前から好き嫌いが出そうな気はします。私はスピリチュアルな事に興味があるので楽しめましたが、見えるか見えないかが自分次第なら、見えるものを見た方がおもしろいと思いませんか(笑)?ぜひその感覚を本作で味わってください。 |
デートでムードが盛り上がるような要素はあまり含まれておらず、わかりやすい映画とはいえないので、映画を観慣れていないカップルにはあまりオススメしません。ナタリー・ポートマンと、リリー=ローズ・デップが演じる美しい姉妹を観るのは男性も楽しいかも知れませんが、テーマがテーマなだけにスピリチュアルな世界観に浸れなければ、置いてけぼりな感覚に終わってしまう可能性があります。女子同士で観るか、1人でじっくり観るのが良いと思います。 |
キッズにはまだピンとこない部分もあるかも知れませんが、若い頃のほうが霊などスピリチュアルな事に興味を持つと思うので、試しに観てみるのも良いと思います。人が見えないものを見えると断言すること、人が信じられないことを信じていると公言することは、ときに誤解を招くことがあります。そういった視点で観ると、今後の人間関係に少し参考になる部分もあると思います。 |
関連記事:
■来日ジャパンプレミア、ナタリー・ポートマン、レベッカ・ズロトヴスキ監督
© Les Films Velvet – Les Films du Fleuve – France 3 Cinema – Kinology – Proximus – RTBF
2017.9.13 TEXT by Myson