2015年1月30日より全国公開
日活、東宝東和
公式サイト
マッチョにうるさい私としては、場面写真を見てこのすごい筋肉が気になり映画を観たいという衝動に駆られたわけですが(笑)、内容は激動の時代を生きた実在の陸上選手のお話でした。1960年ローマ五輪の400メートル走で、メダルを期待されながらゴール手前でなぜか後ろを振り返りメダルを逃してしまったインド代表のミルカ・シン。本作はなぜミルカはあのとき後ろを振り返ってしまったのか…というところから始まります。ミルカが育った村はインドとパキスタン分離独立のため犠牲になり、両親や仲間たちは殺され、命からがら村から逃げたミルカは、とにかく生き延びるために何でもしてきました。でも、1人の女性に出会ったことで真っ当な人生を歩みたいと思った彼は、生き方を変えていきます。その後の彼の変化は映画で観て頂くとして、驚いたのは、これは陸上選手としての彼の栄光を描いた物語ではない点です。もちろん陸上選手として成功したことは大きなことで、数々の大会に勝つことは有意義なことなのですが、彼がこだわった勝利はは別のところにありました。国を代表し、国を背負うということだけでなく、背負う国がどういう国なのかによって、スポーツの意義がこれほど大きく変わるとは…。世界で起きているこういう現実も知っておくべきですね。 |
ベースは社会派ドラマですが、インド映画なので歌や踊りもあり、ミルカ・シンの根本的に明るいキャラクターなどから、それほど重さはなく観られると思います。歌や踊りのシーンも従来のインド映画ほど突飛なものではないので許容範囲でしょう。敢えてデート向きというほどではないですが、不向きということもありません。スポーツドラマだけに留まらないテーマが描かれているので、スポーツに興味があってもなくてもどんなカップルでも楽しめます。 |
少年期に両親を失い、避難民として自力で生きていくミルカ・シンの姿は、ぜひキッズやティーンにも観て欲しいところですが、社会的な背景についての理解はキッズにはまだ難しいかも知れません。村が攻撃されるシーンなどもキッズには少々怖いかも知れないので、中学生くらいになったら観ると良いと思います。ティーンは、インドとパキスタンの歴史についても調べてみたり、本作を機に世界情勢に興味を持ってもらえればと思います。 |
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2015.1.20 TEXT by Myson